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cys:79 見切られた必殺剣

「くっ、こいつら……強いっ!」


 トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達は、アッシュ達と剣を交え苦しそうに顏をしかめた。

 戦闘開始当初、アッシュ達がここまで強いとは思っていなかった。


 そんな彼らに、アッシュはニヤッと笑みを向ける。


「舐めてもらっちゃ困るヨ。まあ。ノーティス達に比べたら全然だけど、僕らもホラムの戦士だからネ♪」

「たりめーだ! あの脳筋にだって、いつか必ず勝ってやんだからよ!」

「私だってあの女には、絶対負けないんだから!」


 アッシュ達は、魔力クリスタルと装置を最大限に輝かせ、敵兵達を蹴散らしていった。

 敵兵達の顔に焦りが浮かぶ。


 「くそっ……これが魔力クリスタルと科学の、融合の力か!」


 彼らが苦しい顔で、焦りを零した時だった。


「お前達は下がっていろ……!!」


 彼らの後方から精悍な声が響いてきた。

 圧倒的戦力を放つオーラと共に。


「お前達は下がっていろ」


 その声に兵士達はバッと振り返り、安堵と敬意の眼差しを向けた。


「シド様!」


 皆の声と眼差しから、シドの実力と人望が伺える。

 そんなシドは皆が見つめる中悠々と姿を現し、鋭い眼光でアッシュ達を睨んだ。


「そこをどけ」


 たったそれだけの言葉で、アッシュ達に伝わってくる。

 シドの圧倒的戦闘力が。


「くっ……」


 それを感じゾッと戦慄するアッシュ達だが、ここで引く訳にはいかない。

 ノーティス達に負けないよう、本気で戦うと決めたからだ。

 なので引きつりながらも笑みを浮かべ、シドの顔を見据える。


「どかないよ。冗談にしては笑えないネ♪」

「そ、そーだ。舐めるなよ!」

「たった一人で、私達三人に勝てる訳ないでしょっ!」


 そんなアッシュ達の気持ちを完全に見透かしたかのように見つめたまま、シドは静かに口を開く。


「無理をするな。お前達が一番分かっているハズだ」

「……でも、ハイそうですかとはいかないのサ」

「そうか。無益な殺しはしたくないが、どかぬなら……」


 シドの身体から、魔力クリスタルとは違う銀色の闘気がゆらりと立ち昇っていく。

 その闘気を目の当たりにし、アッシュは額からツーっと冷や汗を流した。


───こ、これはヤバいネ。ノーティスくんと同じか、もしくは……


 アッシュがそんな事を感じている中、シドは剣を顔の前に横にして構えた。

 その剣に、闘気が一瞬にして集まり光り輝いてゆく。


「その勇気に免じて、戦士として葬ってやる。一瞬でな」

「うっ……これはヤバいヨ」

「散れ。桜のように……!」


 シドはそう告げ技を放とうとしたが、サッと素早く剣を防御の構えに切り替えた。

 アッシュ達の後方から、キラッと一瞬白い光が輝いたのが見えたからだ。


「なっ?!」


 その光はシドの予想した通り、一筋の閃光と化し途轍もない速さで向かってくる。


「俺の仲間は殺させないっ! 『エッジ・スラッシュ』!!」


 その声と共にシドの剣にぶつかった閃光は、ガキインッ!! と、大きな音を立ててシドを後ろへ退かせた。

 シドの腕がジンッ……と、痺れる。


「くっ……! 何て威力だ。後一瞬気付くのが遅ければ……」


 無論これは、ノーティスが放った突進系突き技の必殺剣だ。

 ノーティスの得意技でもある。

 ただ、その剣でシドを退かせたものの、防がれた反動でノーティス自身も後ろに飛び退き、ズザァァァッ! と、地面に足を滑らせた。


───フゥッ、さすがに一撃じゃ仕留められないか……


 シドの強さを感じたノーティスは体勢を整え、シドを見据えたままアッシュ達に告げる。


「みんな、ありがとう! コイツは俺に任せてくれ!」

「けど……!」


 アッシュはノーティスに嫌だという顔を向けたが、ノーティスの澄んだ瞳に見つめられるとフゥッとため息をつき、やれやれのポーズを取った。


「分かった。僕らは僕らで、自分の出来る事をするヨ♪」

「あぁ、頼むよアッシュ」

「もちろん♪」


 アッシュはそう言ってニッと笑うとノーティスに背を向け、バロン達に微笑んだ。


「じゃみんな、ここはノーティスくんに任せて持ち場に戻ろうネ♪」

「チッ……分かったよ」

「まぁ、仕方ないわね……」


 分かってはいつつも、少し納得いかないバロンとサロメの肩に、アッシュはポンと手を乗せた。


「バロン♪ サーーロメっ♪ 何事も適材適所。この戦いでもっと強くなればいいのサ♪」


 アッシュがそう言って二人を連れその場から去ると、ノーティスはシドをキッと睨んだ。


 いやでも分るから。

 目の前のこの男こそが、トゥーラ・レヴォルト最強の男である事が。


「俺は、スマート・ミレニアムの勇者『エデン・ノーティス』キミがトゥーラ・レヴォルトの勇者か」

「その通りだ。俺は『アルベルト・シド』我がトゥーラ・レヴォルトの勇者であり……ノーティス、貴様を倒す者だ!」


 シドも、ノーティスをキッと睨みつけて剣を構えた。

 そのシドからヒシヒシと伝わってくる。

 ノーティスの事をただの敵としてではなく、何か特別な想いを抱いているのを。


「シド……俺とはどこかで会ったか?」

「いや……貴様に会ったのは、これが初めてだ」

「そうか……」


 ノーティスがそう零すと、シドは片手でノーティスに剣先を向け、より強く闘気を立ち昇らせた。

 その銀色の闘気が、より強く輝きゆらめく。


「だがもう、二度と会う事は無い。貴様は今日ここで……死ぬからだ!」


 そう言い放ったシドから伝わってくる、圧倒的戦闘力と鋭い殺気。

 だが、それと同時に、ノーティスはその裏に隠された哀しみを感じてしまう。


───キミには一体何が……いや、今は……!


 ノーティスは剣を両手で右斜めに立てて構えると、シドを凛とした眼差して見据えた。


「キミの想いと剣を全て受け、俺は勇者としてキミを討つ!」


 そして、シドを見据えたまま詠唱を行なう。


「光のクリスタルの名の下に、輝け! 俺のクリスタルよ!!」


 ノーティスは、額の魔力クリスタルから溢れ出した白輝の煌めきを身に纏うと、足を大きく開いて突きの構えで剣先をシドに向けた。


「この魔力クリスタルの白輝の煌めきを纏う限り、俺は決して負けはしない!」


 そう言い放ったノーティスを、シドは怒りをその瞳に宿し見据える。


「それが白輝の魔力クリスタルか……だが、偽りの煌めきとその力、今日で全て無に還してやる……! 行くぞっ!!」


 シドはそう叫ぶと、ノーティスが技を放つより前に勢いよく飛びかかり、銀色の闘気を纏った剣を勢いよく振り下ろした。


 ガキインッ!!


 白輝の煌めきを纏った剣で防いだノーティスだが、鍔迫り合いをしている剣から、凄まじい衝撃が伝わってくる。


「くっ……なんて威力と重さだ! けど……ハァァァァッ!」


 バチィンっ!!


 ノーティスはシドの剣を弾くとすぐさま再び突きの形に構え、必殺剣を繰り出す。


「この閃光は全てを貫く! 『エッジ・スラッシュ』!!」


 その瞬間ノーティスは一筋の閃光と化し、凄まじい勢いでシドに突き進む。

 それを近くで見たレイとジークは思った。


───やったわ♪

───アイツの勝ちだ!


 けれど、シドは余裕の表情を浮かべてノーティスの剣を見据えると、サッと体を捻り完全に躱した。


「なっ?!」

シドは、今までの相手とは違う……!

次話はノーティスのピンチに仲間が立ち上がります。

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