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cys:76 縋るアッシュと去るノーティス

「凄い殺気と戦闘力ね……!」


 レイが技を止めノーティスにそう答えると、ジーク達もノーティスに真剣な顔を向けてきた。

 皆、ノーティスから遂に指示が出るのを期待しているからだ。


「ノーティス、遂に敵さん達のご到着だぜ」

「あぁ、まだ少し距離はあるのにこの殺気と戦闘力か……」

「ノーティス、ボクこんな殺気感じるの初めてだよ……!」

「メティア、心配するな。俺らがいる」

「うんっ……! ごめんノーティス。むしろ皆を守る為に頑張るよ!」

「メティア、ありがとう。けど、無理はするなよ」


 ノーティスがメティアにそう言ってほほ笑むと、ロウがノーティスをスッと見つめてきた。


「じゃあノーティス、そろそろ準備を始めようか」


 けれど、ノーティスは軽く目を閉じてフッと微笑んだ。


「ロウ、何の準備だ?」

「何ってノーティス……ハッ、キミはまさか……」

「そうだロウ、俺らは何もしないよ」

「……キミは、本気で言っているのか?」


 ロウは目を丸くして驚いているが、ノーティスは平然とした態度を崩さない。

 むしろ、この状況を待っていたような雰囲気さえ感じさせる。


「ロウ、忘れた訳じゃないだろ。俺達は何もしなくていいと、皇帝カミュ様から直々に言われたんだぞ。命令に背く訳にはいかないさ」

「フム……ただそうなると……」

「あぁ、行くんだよ。コイツらが」


 ノーティスは平然とそう言ってしゃがみ込むと、アッシュの頬をペチペチ叩いた。

 これは、ノーティスが相手にキレてる時に取る態度だ。


 さっきはジークと女心の話になって一瞬脇に意識が逸れたが、ノーティスは内心アッシュ達には心から怒りを感じていた。

 現場を見て、何が起こったのか大体の察しがついていたから。


「おい、お前らも戦士なら、この殺気と戦闘力は感じてんだろ?」

「あ、当たり前サ! こんなん感じない方がどうかしてるヨ……」

「だろ? だから早く見せてくれよ。努力も研鑽も必要無い、ボタン一つで強くなれる絶大な科学の力でアイツらを倒す所をよ」

「うっ……うぅっ」


 自分達の吐いたいた言葉をそのまま返され、アッシュは苦しそうに顔を歪めた。

 分かっているからだ。

 例え自分達が万全の状態でも、今迫ってきてる敵には決して勝てない事が。

 けれどノーティスは、それを分かってる上でアッシュを冷酷に見下ろす。

 このまま赦す気は一ミリも無い。


「チッ、なーーに情けねぇ顔してんだよ。科学の力と数は個の力を圧倒すんだろ。テメェ自身で言った事だろうが」

「で、でも、あんな強い相手キミ達の協力が無いと……」


 アッシュは泣き出しそうな顔で見上げてきたが、ノーティスそれを一喝する。


「うっせぇよ!」

「ヒイッ」

「舐めてんじゃねぇよ……! 俺の大切な仲間達の力を散々バカにしといて、調子悪くなったら助けを乞うのか?」

「うぅっ……」

「んな都合のいい事あるわけねーだろ。テメェらの命張ってこの国を守れ。それがお前らの存在意義だ!!」

「ぐっ……!」


 自分達の愚かさを呪い、膝を折ったまま床に両手をついて嘆きを零すアッシュ達。

 しかしノーティスは、そんな彼らに全く興味が無いような顔でスッと立ち上がった。

 そして、今までのとは全然違う爽やかな顔をロウ達に向け、ニコッと微笑んだ。


「そういえば昼ご飯がまだだった。あーお腹減った。みんな、一緒に行こう♪」


 すると、皆も笑みを浮かべてノーティスを見つめた。

 もちろん、ノーティスのキレた時の言葉遣いや、そうなった時の徹底した冷酷ぶりには多少やり過ぎだと思う気持ちはある。

 だが、思ってる事は皆も同じだし、何よりノーティスがこうなったら笑うしかないからだ。


「フム、そうだな。まぁ、たまには昼食を取りながら戦場を見下ろすのも悪くない」

「ボク、甘い物食べたーい♪」


 メティアがはしゃぐと、レイが艶やかな瞳をノーティスに向けてきた。


「ノーティス、一緒に紅茶飲みましょ♪ 朝からガサツな人と一緒にいて疲れたの」

「おいおいレイ、そりゃ誰の事だい?」

「あらジーク、アナタ以外に誰かいるのかしら♪」

「お前さん、言わせておけば……」


 ジークが顔をしかめると、レイはノーティスの腕にギュッと抱きつきワザとらしく怖がった。


「ノーティス~~~。この人怖ーーーいっ♪」


 レイの胸の柔らかい感触がノーティスの腕から伝わってくる。


「お、おいレイ」


 ノーティスは思わず顔を赤くしてしまった。

 こういうのには、からきし慣れていないからだ。

 そんな二人を横目に、ジークは別の意味で顔を赤くした。


「おいレイ! お前さん、何やってんだよ。それにノーティス、お前さんもだ」

「あぁ、すまんジーク」

「チッ、まあ分かりゃいいんだ」


 軽くため息を零したジーク。

 けれどノーティスは、そんなジークにワザとおちゃらけた顔を向けた。


「いやジーク、腕が幸せで動かなくなってしまったみたいなんだ」

「はいっ?」

「だから外す事が出来ない。すまないな♪ ジーク、本当に申し訳ない♪」

「おーーーい、ノーティーーーース。勇者さーーーん。それでいいのか?」

「う~~ん、まぁいいんじゃないか。なぁ、レイ」

「フフッ♪ 当然じゃない。さぁ行くわよ♪」

「レーーーーイ!」


 ノーティス達はそんな事をしながら、まるでどこかに遊びに行くかのようにその場を後にした。

 うなだれるアッシュ達を敢えてそこに残したまま……

 

 ただその去り際、ノーティスはロウに一瞬目配せをした。

 その瞳の光が揺れ、ロウにこれからの意志を伝える。

 ロウはノーティスのその眼差しに力強く笑みを返すと、嬉しそうに微笑んだ。

ノーティスは本当にアッシュ達を見捨てたのか……?

次話は、ノーティスがざまぁをした狙いが分かります。


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