cys:69 ホラムへの出立
「ニャハハッ♪ 全員揃ったようじゃな」
アンリは教皇の間に揃ったノーティス達を見渡すと、満足そうに笑みを浮べた。
無論、アンリも含めてだが、王宮魔導士達は皆自分の我が強くそれぞれの用事を優先させる為、中々揃わない事も多いからだ。
───フゥッ、まずは一安心じゃな。
アンリがホッと胸を撫で下ろす中、メティアは目をキラキラさせてはしゃいでいる。
「アンリーー、ボク、スマート・ミレニアム以外の国に行くのドキドキするよ♪」
「そうか。メティア、お主は初めてか」
「うん♪ アンリはあるの?」
そう問いかけられた、アンリはニコッと得意げな顔を向けた。
「もちろんニャ♪ それにホラムは、クリスタルと最新科学を融合させた中々に面白い都市じゃぞ」
「わぁっ♪ 何だかすごそーだね」
メティアは、ワクワクしながらはしゃいでいる。
もちろん、これから任務で行くという事は分かってるが、壁外の都市となると、どうしても旅行的な気持ちも出てしまうから。
そんなメティアを、ロウはチラッと見つめた。
「メティア。ワクワクする気持ちは素敵だが、任務で行くというのはしっかり認識しといてくれ」
メティアが任務を誰よりも一生懸命やるのは分かっているが、ロウは軍師として、常に最悪の場合を考えておかねばいけないからだ。
「う、うん。ごめんねロウ。そうだよね」
シュンとした顔で軽くうつむくいたメティアに、ロウは優しい眼差しを向けた。
「今回の1番の目的はホラムを守る事だ。ただ、王宮魔導士として見聞を広めるのは悪くない」
すると、メティアはまたパァァァッと顔を輝かせた。
「うんっ♪ 美味しい物もたくさんあるかなー?」
「ハハハッ♪ きっとあるさ」
メティアとロウがそんな話をしている中、レイはノーティスに胸元のネックレスを見せて微笑んでいる。
「フフッ……♪」
レイのセクシーな流し目に、軽く顔を赤くしてるノーティス。
それを隣で見たジークは、心の中で軽くふてってしいる。
───ケッ、なーんでぃ。今から出向なのによ。
ジークが心で軽くそうボヤくと、レイが前を向いたままジークにそっとグローブを渡してきた。
(はい、これ)
(なっ、なんだよこれ)
(この前間違えて買っちゃったの。いらないなら捨てるわ)
レイからそう言われたジークは、嬉しくてつい大声を出してしまう。
「バッ、バッきゃろ! 誰もいらねーなんて言ってないだろ」
(もうっ、声が大きいのよ)
(あっ、す、すまねぇ)
(貰うならちゃんと着けときなさいよ。失くしたら承知しないから♪)
(な、失くす訳ねぇだろーが)
ジークはそう言ってグローブを嵌めるた。
完全に手にフィットしている。
「気に入った。ピッタリだぜ♪ しっくりくるのはあるよ~で、中々ねぇからな」
「あっ、そう。たまたま合ってよかったわ♪」
レイはそう言ってプイッと横を向いた。
顔を火照らせてるのを隠す為に。
無論、間違えて買ったなんかは大嘘だ。
───当たり前でしょ。昨日、アナタの為に買ってきたんだから……♪
ジークはそんなレイを見てニカッと笑うと、前を向き手の平と拳をバシッと合わせた。
「いよっし! いっちょ、ホラムで暴れてくるとすっか!!」
「全く、単純ね。 それに暴れてどーすんのよ。ホラムを守りに行くのに」
呆れた顔でやれやれのポーズを取るレイを横目に、ジークは腕を組んでニヤッと笑う。
「ケッ。お前さんこそ、そんなセクシーな格好して、今からパーティーにでも行くつもりかい」
「はぁっ!? これは私の戦闘服なの! 今さらなによ!」
「エロすぎだって言ってんだよ」
「別に私が何着てようと、アナタにはカンケー無いでしょ! 彼氏でもないくせに」
「うぐぐっ……」
レイに詰め寄られ、ジークは顔を苦しそうにしかめた。
その光景を横目で見ているノーティス達は、軽く啞然としている。
「この前といい、ジークは相変わらずだな」
「フム……けどノーティス。あの二人、あんなに仲よかったか?」
「いやロウ、何言ってるんだ? ケンカしてるけど……」
キョトンとした顔でそう言うと、メティアがちょっとビックリした顔を向けてきた。
メティアも当然、ジークとレイが仲良くなってるのを分かっているから。
それこそ、恋人同士かと思うぐらいに。
「えーっ、ノーティス見て分からないの?」
「分からないって……メティアこそ何を言ってるんだ?」
不思議そうな顔を向けてきたノーティスに、メティアは軽く呆れた顔を浮かべた。
「ハハッ。ノーティスって頭いいけど、女心は全然なんだね」
「メティア、ルミと同じ事ゆーなよ」
ちょっと口を尖らせたノーティスの側で、メティアはルミの事を思い浮かべた。
───ルミさんも大変だな。きっとノーティスに、気持ち全然気付いてもらってないんだろーな……
「へっくしゅ!」
ノーティスの自宅でクシャミをしたルミは、椅子に腰掛けたまま窓の外を見ながら想いを巡らす。
───ノーティス様、どうかご無事で帰ってきて下さい。とびきり美味しい紅茶をご用意して、待ってますから……♪
ルミがノーティスの無事を祈る中、アンリは皆に向かって両手を上げてニパッと微笑んだ。
「ニャッハー♪ ノーティス、ロウ、レイ、ジーク、メティア。各自色々あると思うけど、みんな準備はいいかニャ?」
それを受けた皆は、アンリに凛とした顔を向けた。
「あぁ、もちろんさ」
「僕も問題ないよ」
「フフッ♪ 当然でしょ」
「あたぼーよ。気合入りまくってるぜ!」
「早く行きたーい♪」
ノーティス達の明るく凛々しい顔を見て嬉しそうに笑うと、床にある転送用魔法陣を青白く光らせ始めてゆく。
───よし。この色なら、あっちの魔法陣も間違いなく作用しておるようじゃな♪
ホラムの場内の魔法陣も無事である事を確認したアンリは、ノーティス達に笑顔で片手を振った。
無事を願う気持ちを込めながら。
「じゃーみんな、行ってくるニャ♪」
その瞬間、ノーティス達はホラムに転送された。
そしてアンリは、ノーティス達が旅立った後の転送用魔法陣を見つめながら、ちょっと切なくため息を吐く。
「フゥッ。皆、無事で帰って来るのじゃぞ。それにノーティス……私の考えが正しければ、お主の背負っている運命は、仲間との絆が鍵なのじゃからな……」
アンリはそう零すと、静かに部屋から去っていった。
ここまでご覧になって下さって、ありがとうございます!
皆様のお陰で、無事に第4章まで完結出来ました!
次章からもざまぁは忘れずにですが、熱いバトル展開と涙の展開が待っています!
ここまで読んで面白いと思って頂けたら、ブクマと評価して下さい\(^o^ )
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