cys:44 ノーティスの戦い方
ドオンッ! ドオンッ! ドオンッ!
ノーティスは、フェクターの猛攻をサッと素早く躱しながら間合いを図っていた。
けれど、その度に街が破壊され轟音と共に砂塵が舞い上がる。
───さてどうするか……早く決めないと被害が広がってしまうな……
正直今のノーティスにとって、フェクターを倒す事は難しい事ではないし、動きを一旦封じて魔力クリスタルを破壊する事も出来る。
───ただそれだと……
一計を案じたノーティスは、フェクターの猛攻を躱しながらロバートの側にタンッと寄った。
そして、フェクターを見据えたままロバートに告げる。
「すまないロバート。あのフェクターに、一斉射撃を頼む」
「一斉射撃ぃ?」
何を言ってんだという顔を向けてきたロバート。
けれど、ノーティスは表情を変えない。
「あぁ。その間に俺の力を全開にさせて、彼の魔力クリスタルを破壊する」
「いや、でもノーティス。アイツには剣も矢も通らねぇぞ!」
訝しむ顔をしたロバートに、ノーティスはサッと振り向き澄んだ瞳を向けた。
「一瞬でいいんだ。頼む! ロバート」
すると、ムダだとは思いつつも、なぜかそうせざる負えない気になってしまうロバート。
ノーティスの澄んだ瞳には、逆らおうという気が起きないのだ。
「わかったよ……それでいいなら、やってやる」
「ありがとうロバート。恩に着るよ」
ロバートに向かい軽く微笑んだノーティス。
そして、ノーティスにそう礼を言われたロバートは、部下達に大声で号令をかける。
「お前ら構えろ! 今から一斉射撃だ!」
「はいっ!」
ロバートの号令と共に衛生兵達から放たれた無数の矢が、フェクターにババッ! と、降りかかる。
無論ロバートの言った通り、フェクターには全く通じなかったが、動きが一瞬止まった。
それを見たノーティスは、ロバート達に大きな声で、
「ありがとう!」
と、礼を告げると鞘から剣をサッと抜き、その剣を両手で胸の前にスッと立てて構えた。
「光のクリスタルの名の下に、輝け! 俺のクリスタルよ!!」
その詠唱により、魔力クリスタルから溢れ出ていく白輝の煌めき。
それをノーティスが全身に纏うと、ロバート達はその煌めく姿に目が釘付けになった。
「おおっ……! なんて鮮やかで強い光なんだ!」
「神々しい……!」
「俺らと同じ魔力クリスタルだとは思えないな……!」
ノーティスは皆からそんな風に見つめられる中、一瞬で必殺剣の構えを取ると、フェクターを凛とした瞳で見上げる。
「すまない。悪いけど、少しの間ジッとしててもらうよ。『ライトニング・コルビス』!!」
ノーティスの剣先からピカッ! と、輝く光の玉が放たれた。
それはフェクターの頭上で大きく弾けると、そこから現れた光の檻が、フェクターをガシャン! と、閉じ込めた。
「グガァァァァッ!!」
恐ろしい咆哮を上げ光の檻を壊そうとするフェクターを、ノーティスは澄んだ瞳でジッと見据える。
「ごめんな。師匠ならこんな事しなくても、一発でキミの魔力クリスタルを破壊できるんだけど……」
ノーティスはそう呟くと、剣を突きの形に構えグッと腰を落とし、フェクターのクリスタルに狙いを定めた。
───師匠……あの時アナタが俺を救ってくれたように、俺も彼とあの子を救ってみせます!
心でアルカナートに誓いを立てたノーティスの瞳が、キラリと光る。
「フェクター! キミがすべき事は破壊や殺戮じゃない。この子を抱きしめる事だ! 悪夢から目覚めろ! 『エッジ・スラッシュ』!!」
その叫びと共に、ノーティスは凄まじい速度でフェクターに突きを繰り出し、フェクターの魔力クリスタルに剣先をビシッ!! と、突き立てた。
その直後フェクターの魔力クリスタルに、ピキピキピキ……! と、いう乾いた音と共に亀裂が走る。
そして次の瞬間、パリーン! と、いう音を立て粉々に砕け散った。
「グワァァァァッ!!」
フェクターの断末魔が周囲に響き渡ると共に、暴走のエネルギーが消えてゆく。
それと同時にフェクターと化していた男の体はみるみる内に小さくなり元の姿に戻ってき、男はその場に倒れていった。
「あっ、あぁぁぁぁっ……」
ノーティスはそれを見るやいなや、剣を素早く鞘へ納め、その男の身体をガシッと掴み抱きかかえると、そのままメイの所へ運びそっと横たわらせた。
「メイ、もう大丈夫だ」
ノーティスがそう告げ優しく微笑むと、メイは涙を零しながら父親の身体を激しく揺さぶる。
「お父さん! お父さんっ!」
すると父親はゆっくり目を開き、まるで悪夢から覚めたように瞳から涙を溢れさせながら、メイの頬へゆっくり片手を伸ばした。
「あ……あぁっ……すまなかったな、メイ」
「お父さんっ! 私だよ! 分かる?!」
「分かるよ……メイが無事で、よかった」
「お父さーーーんっ!」
メイは安堵の涙を流しながら、父親に覆い被さるようにギュッと抱きしめている。
その姿を優しく見つめたノーティスは、ロバートにスッと顔を振り向けた。
その瞳に静かな怒りを宿して。
「ロバート、聞かせてほしい。なぜメイが、ここまで涙を流さなければいけなかったのかを……!」
真の悪はフェクターではなく、そう仕向けたバルガス……!
次話はノーティスがバルガスにざまぁを下します。
ブクマまだの方は、是非しておいて下さい\(^o^ )




