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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第3章 白輝の勇者エデン・ノーティス
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cys:41 セイラの微笑み

「ノーティス!」


 セイラは嬉しそうに笑みを零し、ノーティスにタタッと駆け寄り飛びついた。

 ノーティスの鼻腔を、セイラのほのかに甘い薫りがくすぐる。


「ちょ、ちょっとセイラ」


 満面の笑みで抱きつかれ、ノーティスはちょっと顔を赤くしているが、セイラはお構いなしだ。


「もーー♪ どーしたのよノーティス。私に会いに来てくれたのー?」

「あ、あぁ。ギルド検定試験に合格したからその報告に……」


 ノーティスが照れながらそこまで言うと、セイラはバッと体を離しノーティスの両肩に手を添えた。


「えっ? もう合格したの?! さっすが私のノーティス♪ デキが違うわー♪」


 そしてまたノーティスをべた褒めしながら抱きつき、綺麗な頬をスリスリしてくる。


「セ、セイラ。ここ街泣かんだから……」

「いーじゃないのもー♪ あーーノーティス大好きよー♪」


 その光景を見せつけられてるルミは、軽く拳を口の下に起き目を閉じると、コホンと一つ咳払いをした。


「あの、ノーティス様が大変お世話になったようで」

「あら? アナタは?」


 キョトンとした顔を向けたセイラ。

 ノーティスの事以外は、目に入っていなかったようだ。

 そんなセイラに、ルミはちょっとだけ挑戦的な顔を向けた。

 二人の間に感じた空気に、ちょっと、いや、かーなり妬いてしまったから。


「私、ノーティス様のお世話をさせて頂いている、執事のアステリア・ルミと申します」

「あら、アナタがノーティスの執事さんね♪」


 明るく顔を振り向けたセイラだが、ルミはちょっとツンとした顔を向けてしまう。

 良くないとは思うが、これはどーしようもない。


「はい。私ノーティス様と、ほとんど一緒に住んでますので」


 そのルミの口調と雰囲気に、ちょっとカチンときたセイラは、少し目を細め軽く嫌味な表情を浮べた。

 ルミから感じたからだ。

 まるで、ノーティスの今の彼女は私だから、という雰囲気を。


「あらそう。けどノーティスも年頃だし、アナタみたいな子が一緒じゃ、ノーティスの気が休まらないんじゃない?」

「ご心配なく。ノーティス様には、いつでも心を落ち着けて頂けるように尽力してますから」


 ツンとしたした顔で答えたルミを、フッとした笑みで見下ろすセイラ。


「アハッ♪ まあ、そうね。よく考えたら、アナタなら気が休まりそう。ノーティスもアナタには変な気が起きなそうだし♪」


 セイラがそう言ってルミを嘲るように見下ろすと、ルミも負けじと同じ様に見返す。


「そ、それが何か。私は執事ですし、誰かさんみたいに下品な事は想像すらしませんから!」


 セイラとルミはムッとした顔で睨み合うと、互いにグイッと身を乗り出した。


「なによ!」

「なんですか!」


 二人の視線がぶつかり火花が散る。

 その間に挟まれたノーティスは、冷や汗をかきながら互いの顔を交互に見つめている。


「あ、あの、二人共落ち着いて……」


 ノーティスがなだめようとすると、セイラとルミはバッとノーティスに振り向いた。

 思いっ切り怒っている顔で。


「ほっといて!」「ほっといて下さい!」

「……は、はい」


 二人の気迫に圧倒され、シュンとなってしまったノーティス。


───ホント、勘弁してくれよ……


 心でそうボヤいたノーティスは、ハァッと溜息をついた。

 セイラもルミも、いつもと全然違うから。


───どーすりゃいいんだろ?


 なので、二人の気を逸らす為にも、セイラに軽く質問してみる事に。


「セイラ、そういえば師匠は来てるのかな?」


 すると、セイラはルミと睨み合うのをやめ、ノーティスの方へスッと振り向いた。

 怒りから一転し、ちょっと寂しそうな顔をしている。


「最近来てないの」

「あっ、そうなんだ。まぁ、師匠忙しいからな」

「うん。でも最近ずっと来てなくて……」


 少し寂しそうに零したセイラ。

 アルカナートとは昔からずっと一緒にいるので、普段は憎まれ口を叩いていても、暫く会わないと心配にはなってしまうから。


 そんな雰囲気を感じたルミも、セイラを睨むのをやめた。


「連絡は、お取りになられていないんですか?」

「しても返って来ないし……あっ、でも!」


 セイラは急に声を上げ、ノーティスにハッとした顔を向けた。

 セイラの綺麗な目が大きく開く。


「そうだ!ノーティスが来たら伝えてって言われてた!」

「えっ、何を?」


 ちょっと驚いたノーティスに、セイラは身を軽く乗り出した。


「アルカナートが言ってたの。『古の祠(いにしえのほこら)にカギがある』って」

「古の祠?」

「うん。私もよく分からないんだけど、もしノーティスが来たら、それだけ伝えろって言われてたの」

「そうか……ありがとうセイラ。覚えておくよ」


 ノーティスはお礼を言いながら、軽く思い返している。


───古の祠か。確か昔ちょっと調べた事があったな。けど、確かアレは……


 するとセイラが、ノーティスの背をポンッと叩き、微笑む顔を覗かせた。


「ノーティス。そんな難しい顔してないで、せっかく来たんだから久々に家でご飯食べよっ♪」


 セイラはそう言ってニコッと笑うと、ルミにちょっとすまなそうな顔を振り向ける。


「ルミちゃん、ごめんね……さっきはちょっとイラッとしちゃって、悪かったわ」

「セイラさん……! い、いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。ノーティス様を育てて下さった方に、とんだご無礼を!」

「気にしないで♪ 今ノーティスを支えてるのは、間違いなくアナタなんだから」

「そんな事……」


 二人が突然仲直りした事に取り敢えず安心したノーティスは、セイラとルミと一緒に久々に寮へ向かった。


◆◆◆


 夕食もかなり進んだ頃、酔っ払っているセイラとルミ。


「ルミちゃん、アナタも苦労人ね〜~~」

「そ〜~なんですよ。ノーティス様は筆記試験満点でも、女心は、れ~点なんで〜~」

「分かる〜~この子頭いいくせに、ホント、そういうとこ超鈍いからね〜〜」


 セイラはグタグタの口調でそう言うと、孤児達に囲まれてるノーティスにへべれけな眼差しを向けた。

 目が据わり、完全に出来上がっている。


「おいっ、聞いてのかノーティス! あ・な・た・の事言ってんのよ」

「そーだそーだ。ノーティス様のどんか〜~ん」


 ルミまで加わりノーティスにブー垂れてくるが、ノーティスはそれどころではなかった。

 孤児達からの質問攻めにあっているから。


「ねーねーノーティス兄ちゃん、魔力クリスタルってどうやって光らせるの?」

「それは、基本魔力を高めて……」

「ロウ様ってどんな人なの?」

「ロウ? ロウは凄く頭が良くて……」

「私、レイ様の事もっと聞きたーい♪」

「えっ? あー、レイは凄く綺麗な人で……」


 ノーティスは、孤児達からキラキラした瞳を向けられながらの質問攻めにタジタジだ。

 けれど、セイラもルミも許さない。


「あっ、ルミちゃん。ノーティスが浮気してるぞ〜」

「ノーティス様、レイ様から頬にキスされたからって、いい気にならないでくださいっ!」

「えっ、そうなの? ルミちゃん」

「そ〜〜〜なんですよ。後、アンリ様からもほっぺにチュウされてましたし」

「え〜〜〜っ! 浮気だ浮気。ノーティス、ルミちゃんを泣かすな〜〜!」


───あーもう、マジで勘弁してくれよ。


 そして、そんなこんなで夜がふけると、ノーティスは寝静まったみんなを残し、そっと外に出た。

 そして、外で草むらに両足を伸ばして座ったまま、キラキラ光る星空を眺める。


「変わらないな。あの頃と……」


 そう呟きアルカナートとの修行時代を思い出していると、後ろからセイラが声をかけてきた。


「ノーティス♪ どーしたの、黄昏れちゃって」

「セイラ、起きたのか?」

「うん。あの子達いるし、いつまでも寝てらんないからね」


 セイラはそう言うと隣にスッと座り、微笑みながらノーティスの横顔を見つめた。


「ノーティス、今日は来てくれてありがと♪」

「いや、こっちこそ。久々にセイラに会えて嬉しかったよ」


 星空を見上げながら答えたノーティスに、セイラは嬉しそうに微笑んだ。


「またいつでも来てね♪ 今度はルミちゃんの彼氏としてさ」


 ニヤッとした顔を向けてきたセイラに、ノーティスは火照らせた顔をバッと振り向かせた。

 飲んでもないのに、顔は真っ赤だ。


「なっ、ち、違うよ。ルミは執事で、そういうのじゃない」


 焦って両手のひらを向けると、セイラはさらにちょっと意地悪な顔をしてノーティスの顔を覗き込んだ。


「ホントにそうかな~?」

「あ、当たり前だろ」

「ふ〜ん、私にはそう見えないし、少なくともルミちゃんはノーティスの事大好きだね♪」


 ニヤッと笑みを浮かべたセイラの隣で、頬を赤くしたまま軽く口を尖らすノーティス。

 恋愛神経が極端に鈍いが、気持ちの部分は惹かれてるから。


「なっ、そんな事あるわけ無いだろ」

「まっ、女心、れ~点のノーティスには分からないか♪ アハハッ」


 セイラはそう言って笑った瞬間、ノーティスの頬にチュッ♪ と、軽くキスをした。


「セ、セイラっ」

「ちゃんと気付いてあげなきゃダメだよっ♪ あんな子、なかなかいないんだから」


 セイラはそう告げ、うーんと伸びをして立ち上がると、ノーティスに向かいニコッと笑う。


「ノーティス、これからが本番だよ」

「そう、だな……」


 ノーティスは軽く呟き、再び星空を微笑みながら眺めていたが、この時はまだ本当の意味では分かっていなかった。

 ここからが本番だという、その意味を……!

本番はまだまだこれから……

次話は新たなざまぁの火種が起こります。

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