cys:39 真の合格
「なんですって?」
レイはノーティスの言葉に思わずバッと振り返り、不可思議な表情で顔を曇らせた。
もちろんジークも、不思議そうにノーティスを見つめている。
そんな二人に、ノーティスはすまなそうに軽くうつむいた。
「レイ、ありがとう……けど、俺が勝てたのはレイのお陰だし、ジークが誇りある戦士だったからだ」
「ノーティス、アナタ何を言ってるの?」
「俺が倒れた時、レイの言葉がなければ俺は気付けなかったし、ジークが戦士の誇りを持っていなければ、あの場で俺はやられていた……」
そう零し、悔しそうな顔で両拳をギュッと握りしめたノーティス。
もちろん、ジークを倒した時は気分が高揚していたのだが、先程少し冷静に振り返り、今は自分の未熟さを恥じていたのだ。
「それにあの時、俺は怒りに支配されたまま白輝のクリスタルを使ってしまった。あんな失態、師匠に会わせる顔が無い……だから俺はまだ……」
ノーティスがそこまで言った時、レイは嬉しそうにフフッ♪ と笑った。
すると、ジークも目を閉じたままクククッ……♪ と笑い出す。
「レイ、ジーク。一体何がおかしい?」
ノーティスが不思議そうに二人を見つめると、レイが艶のある瞳で、嬉しそうにノーティスを見つめ返してきた。
「ノーティス、文句無しの合格だわ♪ アナタ最高よ」
「レイ?」
すると、ジークもノーティスを見つめる。
「ハハッ、ノーティス。お前さんは……満点合格だ!」
「ジーク……なぜだ?」
「決まってんだろうがノーティス。なぁ? レイ」
ジークは嬉しそうに笑うと、レイの方へ顔を向けた。
そんなジークに、レイは妖しく微笑む。
「えぇジーク♪ こんなに意見が合ったのは初めてかも」
「おっ、遂にお前さんと両想いたぁ、嬉しいもんだぜ♪」
「あら、それとこれとは話が別よ♪」
「ケッ、やっぱか。でもよ……」
ジークはそう言って、再びノーティスの方を向いた。
「ノーティス。お前さんが、ちゃんと分かってるからだ」
「そうよノーティス♪ もしアナタがその気持ちを持ってなければ、逆に合格なんてさせてないわ」
「ジーク、レイ。でも……」
「ノーティス!」
ジークはノーティスの言葉を遮った。
そして、しみじみとした顔で告げてゆく。
「いいんだよノーティス。人ってのはなぁ、成長していくんだよ」
「ジーク、けど勇者はそれじゃあ……」
「ハッ! 最初から完璧な勇者なんていやしねーさ。戦って傷ついて……それを乗り越えてくから勇者なんだよ」
「ジーク……!」
またレイも、凛とした瞳に光を湛えノーティスに告げる。
「ジークの言う通りよ。強さと美しさ。ノーティス、アナタにはそれがあるの♪ だって、アナタは誰よりもそうやって生きてきたハズよ」
「レイ……!」
ジークとレイにジッと見つめられたノーティスは、そっと瞳を閉じた。
そして、これまでの事を振り返っていく。
───そうだ。俺は元々無色の魔力クリスタルで追放されたけど、そこからあの少女と師匠、セイラ、ルミ……大切な人達に支えられてここまで来た。もし俺がここで合格を認めないなら、それは……
そこまで振り返ったノーティスはスッと目を開け、レイとジークを澄んだ瞳で見つめた。
「分かったよ、レイ、ジーク。合格を受け取らせてもらう。勇者として、俺の大切な人達を守っていく為に!」
そう決意をしたノーティスに、嬉しそうに笑みを浮かべるレイとジーク。
ノーティスの決意を受けて、心から喜びが湧いてきたから。
「フフッ♪ ノーティス、これからより美しい姿を見せてね」
「あぁ、レイ。キミに負けない美しさで戦っていくよ」
そう答えたノーティスに、ジークも言う。
「おいノーティス、仲間になっても稽古じゃ本気でこいよ」
「フッ、ジーク。キミに手加減出来る程、俺まだ強くない」
「カッ、よく言うぜ。お前さん……この姿が見えてねぇのかい」
ジークがニカッと笑うと、レイは自分の腰に両手を添えた。
「ノーティス、一週間後よ。一週間後からアナタはスマート・ミレニアム軍正式の勇者として就任するから」
「一週間後?! そうか……随分と早いな」
「そうよ。それまでに、こっちで手続きとかはしておくわ」
「分かった。一週間後に登城すればいいんだな」
「ええ。詳しくはまた通知を送るから、それまではゆっくりしなさい♪」
レイはノーティスにそう告げると、ジークの方へ振り向きサッと片手を差し出した。
「ほらジーク、もう行くわよ。アナタのタフさならもう立てるハズでしょ。それに、オリハルコンの鎧着てたんだから」
それを近くで聞いてたエレナは、驚愕に目を丸くした。
「オ、オリハルコン?!」
思わず大きな声を出してしまったエレナ。
けど仕方ない。
オリハルコンは、このスマート・ミレニアムで誰もが知る、最も硬度の強い金属だからだ。
「ハッ、まあ粉々になっちまったけどな」
ジークは砕け散った自分の鎧を見ながら嬉しそうに呟くと、レイの手を掴んだまま身体をゆっくり起こし、ノーティスを見つめる。
「ノーティス、これから一緒に見させてもらうぜ。戦いの先にある景色ってヤツをよ」
ジークがそう言ってニヤリと笑うと、ノーティスもフッと零し笑みを向けた。
「ああジーク、共に行こう。クリスタルの輝きの先へ!」
ここまでご覧になって下さり、ありがとうございます!
皆様のお陰で第2章も完結です。
ここから更に活躍とざまぁ、そして感動が待ってますので、まだの方はブクマしておいて下さい!
また、ここまでで面白いと思って頂けたら、是非評価お願いします\(^o^ )
また、よければご感想ください。




