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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第2章 波乱のギルド検定試験
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cys:37 戦いの先に見据える景色

「レ、レイ様……?」


 なぜ? と、いう顔をして見つめるエレナの側で、レイは倒れたノーティスを凛とした瞳でジッと見つめている。


 そんな中、ノーティスは仰向けに倒れたまま悔しさに顔をグッとしかめた。


───バ、バカな……師匠から授かったこの技で、なぜアイツが倒せない? それに、確かにヤツは強いが、さっきのクリーシス・アックスは、レイのディケオ・フレアニクスよりも僅かに威力は小さかった……なのに、なのになぜ?!


 ノーティスがそこまで思考を巡らせた時、レイは腕を組みノーティスを見つめたまま、エレナの隣で大きく口を開く。


「ノーティス! アナタいい加減にしなさいっ!」


 その声と姿にビックリして隣で見上げるエレナをよそに、レイはノーティスをさらに叱りつける。


「何なのよ今の技は! それに、その前までもそうよ。今のアナタの戦い方は全く美しくないわ!」


 その言葉をぶつけられ身体をピクリと動かしたノーティスに、レイは叱責を続けていく。


「私と戦った時と全然違うじゃない! ノーティス、アナタの目的は何なの? 怒りに任せて剣を振るう事? 無様な技を繰り出す事? それとも、あの子を助ける事なの? 答えなさい!!」


 そう問われたノーティスは、倒れたまま自分の心を振り返った。


───俺の目的? 俺は、何をしていたんだ……


 心の中を整理していくノーティス。


 突然ルミがさらわれた事。

 その理由がジークの身勝手な理由だった事。

 そして、血清を一時間以内に打たないとルミを助けられない事。


 そのどれもが理不尽だ。


 けれどそれ故に、ルミを助けるつもりが、怒りに自らを任せてしまう事を優先させてしまった事に気付いた。


───そうだ、忘れていた。怒りは持っていてもいいが、心がそれに覆われたら冷静な判断が出来なくなるんだ……


 その事に気付いたノーティスは身体にググッと力を込め、剣で体を支えながら立ち上がっていく。


───今しなければいけない事はルミに血清を打って助ける事。その為には、そう……目の前のジークを倒す為に、心を整え最高の力を発揮する事だ!


 そう決意をした瞬間、ノーティスの瞳の色が変わった。

 どこまでも澄んだ、全てを見通し包み込む瞳に!


 そして、その瞳でレイ見つめる。


「レイ、すまなかった。そしてありがとう。キミのお陰で、俺が今すべき事が分かったよ」


 そう告げられたレイは、嬉しそうに笑みを浮かべた。

 立ち上がった事もそうだが、何よりノーティスのその瞳を見て一瞬で分かったからだ。

 ノーティスが本来の心を取り戻した事を。


「まったく、世話の焼ける子ね♪」


 するとジークも片手で戦斧(ハルバード)を肩に乗せたまま、ノーティスを見て嬉しそうにニヤリと笑った。

 ジークもレイと同じ事を感じたから。


「おいおい、さっきまでとはダンチじゃねーか♪ やっぱ、男は女で変わるな」


 そう言ったジークを、レイはフフンとした態度でジークを見下ろした。

 月明かりに照らされる中、レイの瞳が妖しく艶のある光に揺れる。


「ジーク、違うわよ。男はね、いい女で変わるのよ♪」

「へっ、違ぇねぇ♪」


 ジークはそう言って軽く目を閉じ笑みを零すと、再びノーティスの方を向きニヤリと笑った。


「さぁ、今度こそ来いよルーキー!」

「あぁジーク。こちらこそ済まなかった。やり方は強引だが、強い相手と戦いたいという、戦士の気持ちは間違っていない」


 ノーティスはそこまで告げると、澄んだ瞳でジークを見つめたままハッキリと言い放つ。


「その気持ちに、今度こそ真っ向から応えさせてもらう!」


 その言葉に一瞬目を丸くしたジークはスッと表情を変え、ノーティスを友を見る様な眼差しで見据えた。


「ノーティス、お前は最高だぜ! よぉーーーーし、んじゃ、完全に全力でいかせてもらうぜ! オォォォォッ!!」


 両手で戦斧をギュッと握り締め、真紅のクリスタルを輝かせながら闘気を滾らせていくジーク。

 ノーティスも必殺剣の構えを取り、白輝のクリスタルを最大限に輝かせる。


「ジーク、これで決着だ。いくぞ! ハァァァァァッ!!」


 二人の放つ凄まじい闘気で、震えるコロッセオ。

 その中でノーティスとジークは互いに睨み合ったまま、互いに必殺剣を放った。


 先に放ったのはジークだ。

 両手で戦斧を大きく振りかぶり咆哮を上げる。


「今度こそ全て消し飛ばしてやるぜ! 喰らいなノーティス! これが俺の全力の『クリーシス・アックス』だ!!」


 その瞬間、先程よりも遥かにデカい真紅のオーラを纏った巨大な戦斧(ハルバード)が、ノーティス目がけて振り下ろされた。


 それを真っ直ぐ見据え迎え打つノーティス。


「煌めく流星よ! 今こそ一つになり想いを貫け! 『バーン・コミュテクス・フォース』!!」


 ノーティスの放った数多の流星剣が、回転しながら一つの大きな閃光に変わっていく。

 それを目の当たりにしたジークは、目を大きく見開いた。


「こ、こいつは数多の流星が一つに合わさった……彗星じゃねぇか!」


 ジークがそう声を上げた瞬間、ドガアンッ!! と轟音を立ててぶつかり燻る二人の必殺技。

 ジークもノーティスも互いに力を振り絞る。


「ぐぉぉぉぉっ……!!」

「ハァァァァッ……!!」


 互いにせめぎ合う中、ノーティスはジークを澄んだ瞳で真っ直ぐ見据えた。


「……ジーク、戦士として戦うのは素晴らしい。けれど、より大切なのは、その戦いの先に何を見るかだ」

「戦いの先だと……」

「あぁそうさ。ジーク、キミはこの戦いの先に、最高の景色は見えているか」


 そう告げられた瞬間、ジークの脳裏に蘇る。

 昔、師であるアルカナートと交わした会話が。


『ジーク、お前の飽くなき強さへの執着、見事なものだ』

『そりゃあそうっすよ、先生。男は、いや、戦士は強くなきゃダメじゃないっすか♪』

『フッ、そうだな。けどジーク、邪悪な者でも強いヤツはいる。それでもソイツは戦士なのか?』

『う〜ん、そりゃぁ……邪悪だけど戦士なんすかね?』

『ジーク。真の戦士になりたくば、何の為に戦うのかを自身に問いかける事だ』

『何の為に、ですか?』

『そうだ。戦いの先に見る景色。それを守る事が、戦士が真に戦う理由だ』


 それを思い返したジークはハッと目を見開いた。


「先生……俺は……」


 そう零した時、ノーティスは真摯な眼差しを向けさらに剣に力を込めていく。


「ジーク……俺は大切な人を必ず守りきる! さらに煌け! 俺のクリスタルよ!!」


 その咆哮と共にノーティスの彗星剣はより威力と輝きを増し、ジークのクリーシス・アックスをズガンッ!! と貫いた。

 彗星剣の凄まじい白輝の光が、ジークに一気に襲いかかる。


「う、うぉぉぉぉぉっ……!」


 ドガアンッ!! という爆音と共にジークの鎧は粉々に砕け、ジークは体ごと大きく吹き飛ばされた。

 そして、背中から地面にドシャンと叩きつけられたジークはそのまま天を仰ぐ。


「ぐはぁっ!」


 するとノーティスは、ハァッ……ハァッ……ハァッ……と、息を整えながらジークの下へゆっくり歩み寄り、片膝を曲げてジークを凛とした顔で見下ろした。

 地面に刺した剣が、優しく光る。

 まるで、今のノーティスの心を表してしるかのうように。


「ジーク、いい勝負だった。この戦いで、キミの戦士としての誇りを感じたよ」


 そう告げられたジークは、仰向けに倒れたままニヤリと満足そうに笑みを浮かべた。

 負けはしたが、全力を出し切ったので清々しい顔をしている。


「ノーティス。戦いの先ってヤツを、俺も見てみる事にするぜ」

「フッ、そうだな。それは一人よりも、二人の方がよりいい景色が見えるハズだ」

「カッ♪ 全く、お前は大したヤツだぜ。完敗だ。けど……ありがとよ」


 ジークは倒れたままノーティスにそう告げると、首にかけている瓶を片手に持ち、スッとノーティスに向かい差し出した。

ルミを助ける為に瓶を受け取ったのだが……

次話はジークの真意が分かります。


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