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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第2章 波乱のギルド検定試験
33/251

cys:33 知らないけど知ってる記憶

「ノーティス、お主は……」


 何か重大な事を告げようとしているアンリの顔を、ノーティスは跪いたままジッと見つめている。

 とてつもなくイヤな予感に、心臓をバクバクさせたまま。


 そんなノーティスを、澄んだ瞳でジッと見つめているアンリ。


───まだ、告げるのは早いかもしれぬな。


 そう思ったアンリは、言おうとしていた言葉を咄嗟に変えた。

 大事なモノこそ、言うべきタイミングが大切だから。


「エネルギーの影響を受けやすい体質なのじゃ」

「エネルギーの影響を?」

「そうニャ♪ まあ、光の勇者の宿命ともいうべきものかもしれんの。だから、異世界から見知らぬ記憶が流れ込んできたのじゃろ」


 アンリからそう告げられたノーティスは、多少違和感や肩透かし感を喰らった。

 話の筋は一応通ってはいるものの、アンリがさっき見せた表情と今の話のバランスが、イマイチ取れてないように感じたからだ。


「本当に、そうなんでしょうか……」

「まあ、私の研究が正しければだけれどニャ♪」


 アンリはニコッと笑ってそう言うが、内心軽く冷や汗をかいていた。


───フゥッ、ギリギリじゃわ。我ながらよく誤魔化せたが、こ奴まだ少し疑っておるな。さて、どうしたものかの……


 笑いながらそう考えたアンリは、そのまま表情を変えずにノーティスの肩に片手をポンと乗せ、ちょっと賭けに出た。

 多少の違和感を払拭する為には、それ以上の動きで別に逸らすしか無い。


「ノーティス、今回は一瞬しかゲートが開かんかったが、貴重なデータが取れたぞい! 礼を言うニャ♪」

「いや、俺の方こそ貴重な体験をさせてもらえたし……」


 謙虚な態度のノーティスに、アンリは嬉しそうにニコニコ笑う。


「うんうん♪ それとノーティス、お主ならギルドの試験に合格するのは容易いじゃろ」

「いや、それはまだ分からないさ」

「あらまっ、謙遜しおってからに~~♪」


 アンリはニヤニヤしながら、人差し指をクルクルさせると、ノーティスに凛とした瞳を向けた。


「ただ、本当の試練は勇者になってからじゃ。だから、もし何かあればいつでも私を訪ねてくるがよい。いつでも歓迎するニャ♪」

「……ありがとうアンリ」

「う~~ノーティス、こちらこそだニャー♪」


 アンリはニコニコしたままノーティスにサッと抱きつくと、耳元でそっと囁く。


(特に、王国の事で異変を感じたらすぐに来い。よいな?)

(……はい!)


 ノーティスはそれ以上深追いしなかった。

 アンリが自分にそっと告げてきた以上、この場の他の者にはもちろん、自分対しても今はまだ、これ以上は言えない事がある事を察したからだ。


 アンリにとってもこの告げ方は賭けではあったが、ノーティスがちゃんと察してくれた事を感じると、ワザと大げさにノーティスの背中をパンパンと叩く。


「いやー、お主のお陰でいい物が見れたニャ♪ お主は見た目も中身もイケてるヤツだのう♪ どうだ、私と付き合わんか?」

「ア、アンリ」


 ノーティスが軽く顔を火照らすと、隣でルミがコホンと軽く咳払いをした。

 もうそろそろイチャつくの止めてもらえませんか、という雰囲気を醸し出している。


「アンリ樣、そろそろお時間かと」

「おっ、なんじゃルミ。嫉いとるのかニャ♪」

「ち、違います!」


 頬を赤くして叫ぶルミの側で、ムスッとするエレナ。


「お姉様に続いて、アンリ様までズルいですっ!」


 アンリは二人から上手く注意を逸らせた事を密かに微笑むと、ノーティスからサッと離れた。


「ノーティス、お主も色々と大変じゃの♪ まあ、今度隠れてデートでもするかニャ♪」

「アンリ、何を言ってるんだよ」


 ノーティスが軽くボヤくと、アンリは魔法収納空間からサッと魔導の杖を取り出し、スッとノーティス達に向け二ッと微笑んだ。


「じゃ、応援しとるニャ♪ お主たちに幸多き事を」


 魔導の杖がピカッと光った瞬間、ノーティス達は元いたギルド試験会場の広場に戻された。

 一瞬で景色が変わり、脳が一瞬追い付かない。


「ひや~~~、ホント凄い方でしたね。後、本当にもうご体調は大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だ。ありがとうルミ。けど、Sランクの王宮魔導士は、考える事が本当にぶっ飛んでるな」

「アハハッ、そうですね。瞬間召喚に異世界への扉とか、普段考えもしませんし」


 そう零したルミの隣で、エレナは楽しそうにニコッと笑みを浮かべた。


「そーだよね、私も確かに異界とか初めて見たし。でも楽しかったーーー♪ ねっ、ノーティス」


 そう言って、ノーティスの腕に笑顔でギュッと抱きついたエレナ。

 ニコニコしながらノーティスを見上げている。


「ねぇ、今日はもう試験終わったんでしょ?」

「まあ、確かに今日はもう終了だ。そうだよなルミ」

「えぇ、そうですね。後は今日の試験の合格者のみ、一ヶ月後に実技試験がありますが……」


 ルミはそこまで答えると、エレナに向かい顔をしかめた。


「エレナ、いい加減ノーティス様から離れなさい!」

「べーーーっ! せっかくまた会えたのに、離れる訳ないじゃん♪ 悔しかったら、お姉ちゃんもこーすればいいじゃん」

「まったく、アナタって子は……!」


 イラっとしながら頭を抱えるルミ。

 そんな中、エレナはノーティスの腕をそっと離した。

 そして、キラキラした眼差しでノーティスを見つめる。


「ねぇノーティス。二人でじゃなくていいから、お姉ちゃんと三人で美味しい物でも食べに行こうよ♪」

「えっ?」


 ちょっと予想外の提案に驚いたノーティス。

 エレナが自分から腕を外したのもそうだし、てっきりこのまま二人で行こうと言われると思ってたから。


「ルミと一緒ならいいけど……」

「やったぁ♪」


 笑顔ではしゃぎながら、内心ちょっとあざとく考えているエレナ。


───えへへっ♪ エレナ、前と同じ失敗はしないもーん。お姉ちゃんと三人でデートしながら、エレナの魅力で惚れさせちゃえばいいのよ♪


 ルミはそんなエレナの思惑を感じながらも、三人でいうのならダメとも言えない。

 そもそも、ノーティスがいいと言ってしまったし。


 なのでルミは軽くハァッとため息をつくと、仕方なく三人でそこから歩き始めた。

 そしてノーティスは、そんなルミとエレナに挟まれて歩きながら考えていた。


───王国の異変とは一体何だ? きっと、アンリは答えを知ってるハズ。俺になだれ込んできた記憶は知らない人の記憶じゃない……


 そこまで想いを巡らせたノーティスは、再びさっきの事を思い返し確信する。


───なぜ分かるのかすら、俺には分からない。けどあれは間違いなく、俺の……本当の父さんと母さんとの記憶だ……!

ノーティスの両親は異世界に……?

次話は新たな王宮魔導士の登場です。

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