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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第2章 波乱のギルド検定試験
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cys:31 アンリの魔法陣

「召喚って……」


 ノーティスは、少しゾクッとしながらエレナを見つめた。


 召喚といえば聞こえはまあアレだが、そんなん誘拐以外の何物でもないからだ。

 しかも、正体手掛かり共に全くの不明ときてる。


───けど、落ち着け俺。焦るよりも考えろ。少なくとも、師匠やセイラならそうするハズだ。


 逸りそうになる気持ちを抑え、顎に軽く手を当て視線を落とすノーティス。

 そんな中、エレナは人差し指を立ててノーティスに真剣な眼差しを向けた。


「うん。もちろん普通はちゃんと魔法陣書いて、そこと繋がった魔法陣同士が移動出来るんだけど、超一流の魔導士なら、一瞬で召喚する事も出来るって聞いた事あるし」

「あぁ、という事は……」

「うん。王宮魔導士の誰か。しかも間違いなくSランクね。じゃないと不可能だもん」


 手掛かりが掴め、少しだけ安堵したノーティス。


───Sランクの王宮魔導士の誰か。けど、ルミだけを召喚したのはなぜだ……


 そんなノーティスの脳裏に、咄嗟にロウとレイの二人の顔が思い浮かんだ。


───ロウか? いや、ロウは急にそんな事する人だとは思えない。だとしたらレイ? いや、レイならこんな事せずに直接出向いてくるハズだ。だとしたら……


 ノーティスがそこまで思考を巡らせた時、ノーティスとエレナの目の前に、突然アンリが現れた。


「ヤッホー♪ この前ぶりじゃの」

「アナタは、王宮魔導士のアンリ!」

「えっ、マジでアンリ様だ! ノーティス、アンリ様とも知り合いなの?」


 瞳をキラキラさせながら、ノーティスを見つめているエレナ。

 元々ノーティスの事を大好きな上に、ミーハーな気持ちにも拍車がかかる。


 ノーティスは、そんなエレナに少し困惑した顔を浮かべ、片手で後頭部を軽く掻いた。


「いや、知り合いというかこの前少しお世話になって……」

「やっぱそうじゃん♪ すごーい!」


 胸の前で両手を組み、ノーティスとアンリをキラキラした瞳で見つめるエレナ。

 そんなエレナを前に、アンリは少し呆れた顔を浮かべた。


「ノーティス、この子は誰じゃ?」

「この子はルミの妹の……そう、アンリ様、ルミが突然消えたんです!」


 ノーティスがそう叫ぶと、アンリはニッと笑う。


「ノーティス、お主のルミは私が預かっておるニャ♪」

「えっ? なぜアンリ様が……」

「まあ、これからちゃんと話すニャ♪」

「いや、今すぐ話してもらう。ルミをどこへやった!」


 ノーティスからキッと睨まれたアンリは、口をへの字に曲げて残念そうな表情を浮かべる。


「なんじゃ。せっかくお主らとちょっと遊んでから行こうと思ったのに、せっかちなヤツじゃニャ」

「ルミの安否が確認出来ないまま、遊びに行ける訳ないだろ!」


 そう言い放ったノーティスに、アンリはヤレヤレのポーズを取って軽く目を閉じた。


「フゥッ。この前の事といい、お主はあの子の事になると、目の色が変わるのぅ♪」


───まっ、だから召喚したんだけどニャ♪


 心でほくそ笑むアンリを、ノーティスはキツく睨んでいる。


「アンリ。もし万が一でもルミに危害が加えられていたら、例えアナタでも決して許さない!」


 そんな怒りを滾らすノーティスに、アンリは飄々とした雰囲気で微笑む。


「まったく。言葉遣いも荒くなりおってからに、仕方のないヤツじゃ。では行くかニャ♪」


 その瞬間、ノーティスとエレナの足元がボヤっと光ると、あっという間にその場から移動した。


◆◆◆


「ここは……!」

「えっ、マジでなんなの?! 凄〜〜い!」


 驚いて周りを見渡すノーティスとエレナに、アンリは笑顔を向け両手を大きく斜め上に広げた。


「ようこそ! 我がマジックルームへ♪」


 アンリから歓迎された二人だが、ノーティスの瞳にはそれよりも、その奥の透明な箱に閉じ込められている、ルミの姿が目に飛び込んできた。


「ルミっ!」

「ノーティス様っ!」


 透明な縦長の箱に閉じ込められ、内側から助けを求めるルミ。

 防音性のようで声は聞こえないが、ルミの姿を見たノーティスは、アンリをキッと睨んだ。


「アンリ!これはどういう事だ!」


 エレナも、ルミの姿を見て驚き目を見開いた。


「お、お姉ちゃん!」


 そんなエレナの隣で、ノーティスはアンリを睨みつけているが、アンリはニヤニヤ邪な笑みを浮べたまま答えない。


「くっ……アンリ。もしアナタを倒さなければルミを救えないのなら、俺は全力で戦わせてもらう!」


 ノーティスは腰に下げてる鞘から剣をスッと抜き、両手で持ちアンリに構えた。

 剣先がノーティスの怒りを示すかの如く、キラリと光る。

 けれどアンリは臆するどころか、むしろそれを待ってましたとばかりにニヤッと笑みを浮かべた。


「かかってくるニャ♪ ただし、私はこれでもSランクの王宮魔導士、全力で来ないと無事じゃ済まないぞーーー♪」


 アンリはそう言うと天井の方へ人差し指を向け、その上に大きなピンク色の魔法陣をブワンッと作り出し、ニパッと笑う。


「フンフフフ♪ フンッ♪ この魔法陣からの攻撃、お主に止められるかニャー?」


 ふざけた口調とは裏腹に、魔法陣からは絶大な魔力がビリビリと伝わってくる。


「ノーティス、大丈夫なの?!」


 不安な顔を向けギュッとしがみついてきたエレナに、ノーティスはアンリの方を向いたまま答える。


「問題ない」


───確かに凄まじいエネルギーだ。けど、レイのディオケア・フレアニクスには劣る。それに……


 ノーティスはアンリから違和感を感じた。


 が、その瞬間アンリはニヤアッと笑い、瞳をキラリと光らせノーティスを見下ろす。

 今までの飄々とした顔ではなく、正に絶大な力を持つ魔道士の顔だ。


「ノーティス、その状態でよいのかニャ?」

「どうゆう意味だ?」

「知っておるぞ。お主の本当の(ひかり)を」

「……!」

「万一お主が倒されたら、あのルミも無事では済まぬ。あの中の空気は、もって後十分じゃ」


 そう告げニヤッと笑ったアンリを、ノーティスは歯を食いしばり睨みつけた。


「ふざけるなよアンリ……!」

「ルミを助けるか、光の力を封じて負けるか、それはお主の判断じゃ」

「くっ……」


 剣を構えたまま、ギリッと歯を食いしばっているノーティス。


───師匠……合格して勇者になるまで、滅多に使うなと言われたこの(ひかり)。大切な人を守る為に、敢えて使わせて頂きます……!


 ルミを助ける為、ノーティスは全力で立ち向かう事を決めた。


「光のクリスタルの名の下に、輝け! 俺のクリスタルよ!!」


 ノーティスは、自らの魔力クリスタルから溢れ出る煌めきを身に纏うと、アンリに向かい必殺剣の態勢を取った。

 けれど、必殺剣を放つ前に問いかける。


「アンリ……アナタから全く殺気を感じないのはなぜなんだ?」


 数瞬の間、ノーティスとアンリは互いを見据えた。

 ノーティスの精悍な眼差しと、アンリのミステリアスな眼差しが交叉する。


 すると、アンリはニヤッと笑い巨大な魔法陣をシュッと消し、パッと両手を上げた。


「ノーティス、降参だニャ♪」

アンリは何がしたかった事とは一体……?

次話はこの物語の謎が垣間見えます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アンリ、憎めないキャラですね。 語尾のニャも可愛いです。 でも彼女は何をしたかったのか、気になります!
[良い点] アンリは言葉遣いや行動が魅力的に描かれていて興味深い。 [一言] アンリの、これからの行動、そして展開が 楽しみです。
[一言] ここまでヒロインが大切なら不幸があったら闇堕ちしそう
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