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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第2章 波乱のギルド検定試験
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cys:21 逆合格要請とクロエの願い

「キャー♪ すごーーーい!」

「マジでヤバい! こんなん見た事ねぇ」

「カッコいーーーー♪」


 ノーティスのあまりにも凄まじい斬撃を目の当たりにし、未だ興奮の冷めやまない会場。

 誰もがノーティスの事をドキドキしたり、畏敬や羨望の眼差しで見つめている。


 けれど、そんな中ノーティスは、ハァッと大きく溜息をつき、ガクッと肩を落として試験官の所へ行くと、バッと頭を下げた。


「すいません! やっちゃいました!」

「ど、どーした?」


 震えながらノーティスを見つめる試験官に、ノーティスはすまなそうな顔を向けている。


「いや、あのー、測定器まで斬っちゃってごめんなさい! それにこれじゃポイント……分からないですよね」

「えっ……あっ」


 試験官は魔力掲示板を見た。

 すると、確かにノーティスの言う通り、魔力掲示板の表示は0PTというか、消えてしまって真っ黒になっている。

 測定器が斬り刻まれて壊れたせいだ。


───ま、まるで魔力掲示板の命まで絶たれたようだ……


 それを見て更に恐ろしさにブルッと震える試験官に、ノーティスは再び問いかける。

 試験官の顔を、すまなさそうに覗き込みながら。


「あのーー、やり直した方がいいですよね? 今度はもっと上手く手加減するんで」

「ひ、ひいっ!」


 悲鳴を上げ、椅子ごとガガッと勢いよく後に退き、背中をガシャンと壁にぶつけてしまった試験官。

 顔は恐怖に引きつっている。


 無理もない。

 特殊素材で、強固にコーティングされた測定機。

 それがバラバラにされるなんて、誰も見た事、いや考えた事すら無いのだから。


 試験官は、そんな事が出来る男に見つめられ、まるで強大なモンスターに睨まれたように錯覚してしまったのだ。

 ノーティス本人は、ただ本当にすまなく思って、試験官に話しているだけなのだが……


───こ、これは、やり直すなという事を暗に言ってるに違いない。本当にやり直しなんて言ったら殺される!!


 そう思った試験官は、銃口を頭に突きつけられたかのように目を見開き、冷や汗をダラダラと流しながら叫ぶ。


「ポイントなんてどうだっていい! 合格だ! 合格!!」

「えっ? ホントですか? もしホントはダメなら……」


───ヒイッ!!


 試験官は、座ったまま両手で頭を抱えてうつむく。

 ノーティスの事が、冷徹なサイコパスのように見えてしまっているから。


「だから合格っ! 合格です!!」

「いや、でも……」


 ノーティスがすまなそうに顔を覗き込むと、試験官は椅子から転げ落ちるように床に降り、土下座をして頭を床に擦り付けた。


───殺さないでくれ! 頼む!!


「お願いですから! もう合格を、合格を認めて下さい!! お願い致します!!!」


 もう、まるで何が何だか分からない事を告げてくる試験官が、可哀想に思えてしまったノーティス。

 ちょっと哀しげな顔で試験官を見下ろし、ボヤくように告げる。


「分かりました……じゃあ合格通知、宜しくお願いします」


 ノーティスは、ホントにこれでいいのかな? と、いう顔をしながらも、丁寧にお辞儀をしてから出口に向かう。


 すると、試験補助官の女性がノーティスの近くまでタタッと駆け寄り、両手を下に添えてサッとお辞儀をしてきた。


「ありがとうございました!」

「えっ?」


 ノーティスが何かと思って顔を振り返らすと、彼女はスタスタ歩いて目の前まで近寄って来た。


「えっと、何か……」


 思わず体を振り返らせたノーティスに、彼女は胸の前で両手を組み、敬愛の眼差しと共に笑みを向ける。


「アナタのお陰です!」

「ん?」

「もしアナタが教えてくれなかったら、私今頃大ケガしてたハズですから」

「あっ! あぁ……」


 ノーティスはさっき自分が言った事を思い出した。

 ただ、ノーティスにとっては当たり前の事を言っただけなので、ついさっきの事でも忘れていたのだ。


「いや、別に。むしろアレは俺のせいですし……」

「そ、そんな事」

「むしろ、ちゃんと聞いてくれてありがとうございます。アナタにケガが無かった事が、俺は嬉しいです」


 ノーティスがそう言って微笑んだ瞬間、彼女はズキュンと心を射抜かれ、その可愛い顔をポッと火照らせた。


「えっ……そ、そんな事♪」

「本当です。それに、説明も分かりやすかったし感謝してます」


 そう告げると、彼女はポーっとした表情でノーティスを見つめた。

 そして、ハッと我に返ると慌てて魔力ポータルを作動させ、ノーティスに言う。


「あの、連絡先交換しましょ♪」

「えっ、連絡先?」

「はいっ♪ 今日のお礼に、今度ご飯奢らせて下さい」

「いや、いいってそんなの。当たり前の事しただけだし」


 ちょっと焦って両手の平を向けたノーティスだが、彼女は諦めず両手を胸の前で合わせ、懇願するような顔で見上げる。


「お願いします! 私、アナタとお友達になりたいのっ♪」

「えっ? う〜〜ん……分かった。じゃあ連絡先交換しようか」

「わあっ♪ ありがとうございます♪」


 彼女は嬉しそうに笑みを浮かべながら、ノーティスと連絡先を交換した。


「『エデン・ノーティス』さんか。カッコいい名前ですね♪」

「ありがとう。ノーティスでいいよ。それに『フランソワ・クロエ』っていう名前も素敵だ」


 ノーティスがサラッとそう言うと、クロエはまた顔をポッと火照らせ、モジモジしながら見つめる。


「あ、ありがとう……ノーティス♪」

「こちらこそありがとうクロエ。また連絡するよ。測定機の事もあるし……」

「それは気にしないで下さい♪」

「いや、そういう訳にも……」


 そう言って軽くうつむくと、クロエはノーティスの顔を覗き込んでニコッと笑った。


「大丈夫よっ! それはこっちで上手くやるから、気にせず次の試験頑張って♪」

「そっか。クロエ、本当にありがとう」


 ノーティスは頭をスッと下げてから、サッと背を向け出口に向かう。

 クロエはそんなノーティスに、笑顔で手を振った。

 全身から好意と凛とした雰囲気が溢れている。


「ノーティスーー♪ 応援してるからね」


 クロエの明るい声を背中に受けたノーティスは、チラッと顔を振り返らせた。


「ありがとう、クロエの事も応援してるよ」


 澄んだ瞳でそう告げると、ノーティスはそのまま会場を後にした。

このクロエは意外なところでまた登場予定……

次話はルミと、軽くやけくそ気味にお祝いです。


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