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cys:156 レイとアンリの瞬間移動

「こ、これは……!」


 アネーシャの周りに、ヒラヒラと漂ってくる無数のクリスタルの青薔薇。

 それにハッとし剣を構え直した時、アネーシャの瞳に映った。

 青薔薇の向こうから、妖しい微笑みを浮かべ自分を見つめているレイの姿が。


「フフッ♪」


 レイは、スラっとした両足を交叉させ、スッと上に伸ばした両手の先からその薔薇を放っている。


「アネーシャ、今度は私がプロデュースしてあげるわ」

「えっ、貴方が? アンリならともかく、貴女には少し荷が重いと思うけど♪」


 アネーシャは皮肉を込めて挑発したが、レイの瞳は揺るがない。

 絶対的な自信に満ちた瞳を妖しく輝かせ、アネーシャを見据えている。


「言うわね。けど、覚えておきなさい。私の薔薇は、貴女のサクラと違って(トゲ)があるの」


 その言葉と態度が、アネーシャの警戒心を高めた。

 レイを見つめたまま、体に思わずギュッと力がこもる。


───へぇ、本気なんだ……!


 アネーシャは悟った。

 レイがこの挑発に乗らないという事は、それだけこの技に絶対的な自信がある事を。

 けれどアネーシャは、余裕の笑みは絶やさず軽く口角を上げた。


「そう……レイ、貴女はどんなプロデュースをしてくれるのかしら」

「フフッ♪ 大した余裕ね。でも、そんな貴女にピッタリのプロデュースよ。喰らいなさい!」


 レイは咆哮を上げると同時に、胸をグッと張り技を放つ。


「醒めない夢の世界に逝きなさい! 『エファルディス・コーディネーションβ』!!」


 クリスタルの輝きを放つ無数の青薔薇が、アネーシャに向かい一斉にザザァッ!! っと襲い掛かった。

 アネーシャの視界が一瞬で青薔薇で覆われる。 

 だが、アネーシャは動じる事なく、キッ! と、瞳に力を込め剣を片手で頭上に突き立てた。


「ムダよレイ! その技は以前に見せてもらったわ! 『桜華包身』!!」


 その咆哮と共に剣から放たれた白桜のオーラで、全身を包み込んだアネーシャ。

 向かってくる薔薇を全て弾き返していく。

 そして、レイの青薔薇を全て防ぎきると技を解き、周りに落ちた薔薇が消えてゆく中で、フッと溜め息を零した。


「レイ、残念だったわね。以前見たモノより多少エネルギーは強かったけど、この程度じゃ私を……」


 そこまで言った時、アネーシャはハッとして左右を見渡した。

 レイの姿が消えていたからだ。


「えっ?!」


 不可思議な想いから眉間にシワを寄せ声を零した時、アンリがアネーシャを見据えたたまニヤリと微笑んだ。


───まさかっ……!


 その笑みにハッとしてバッと振り向いた瞬間、レイがニヤッと微笑む姿が瞳に映る。


───しまった!


 聡明なアネーシャはその時全てを悟ったが遅かった。


 その瞬間、レイが凄まじい速さでシュンッ!! と、駆けてきたのだ。

 そしてレイは、人差し指を腕と一緒に前にピンッと伸ばしアネーシャの額に送り込む。

 醒めない夢へと旅立たせる、一筋の閃光を。


「うっ……!」

「夢へ、逝きなさい……!」


 レイがそのポーズを取ったままそう呟くと、アネーシャはドシャッ! と、膝をついた。

 その光景を見て、ニッと笑みを浮かべたアンリ。

 エキゾチックで魅力的な瞳が光で揺らめく。


「さすがレイじゃの。やりおるニャ♪」

「フフッ♪ アンリ、貴女が瞬間移動の魔法を使ってくれたお陰よ」

「ニャニャッ♪ だが、レイの薔薇があってこそじゃからの」


 レイとアンリがそう話しを交えた僅かの間に、アネーシャは夢の世界を旅していた……!

アネーシャが旅立った夢の世界とは……

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