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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第2章 波乱のギルド検定試験
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cys:13 豹変するエリス

「エ、エリス。一体何を……」

「フフフッ♪」


 驚いた顔をしたノーティスを、妖艶な瞳で見上げているエリス。

 全身から、妖しくセクシーな色気が立ち昇っている。


 それを目の当たりにしたキリトとオルフェは、信じられないと言う表情を浮べ目を丸くした。


「おいエリス! お前、何やってんだよ」

「そーだよ、まったく」


 怪訝な顔を浮かべる二人にエリスは顔をサッと振り返らすと、キッ! と、強く睨みつけた。

 その瞬時、うっ……と、黙り込むキリトとオルフェ。

 この関係性は、変わっていないようだ。

 邪魔をしたら許さないと、エリスの瞳が告げている。


 そうやって二人を黙らせたエリスは、再びノーティスに振り返ると、さらに妖しく淫靡な笑みを向けた。


「ねぇ、ノーティス♪ 私、アナタの事好きになっちゃったみたい。だから、付き合ってあげる♪」

「えっ?」

「フフッ、付き合ってあげるって言ったの♪」


 エリスはそう言ってスッとノーティスの腕に抱きつき胸を当て、妖しく光る瞳でノーティスを見つめた。


「アハッ♪ 知ってるわよノーティス。アナタが昔、私を好きだった事」

「な、知ってたのか……」

「当たり前じゃない。フフッ♪」


 それを見たルミは、嘘でしょ?! と、いう顔でエリスを見たが、ノーティスはエリスに優しく微笑んでいる。


 確かにエリスの言う通り、昔ノーティスはエリスに好意を抱いた事はあるし、ルミもそれをノーティスから一度聞いた事はあった。

 もちろん、その後、無色の魔力クリスタルだと分かってから酷い蔑みを受けた事も。


───でもダメです、ノーティス様。その方は、ノーティスを幸せにはしてくれません! 騙されないでください!


 そう思ったルミは我慢が出来なくなって、バッと身を乗り出した。


「ノーティス樣っ!」


 けれど、ノーティスは振り向かない。

 それを見たエリスは、ルミに向かいニヤッと笑った。


「あら? アナタはただの執事でしょ♪ そこで黙って見てなさい」

「そ、そうはいきません! ノーティス様が不幸にされるのを、黙って見過ごすなんて!」


 ルミはノーティスの事を純粋に想い声を上げたが、エリスはそんなルミを嘲笑うかのような顔で見下ろしている。

 まるで、エリスから邪悪な女神のようなオーラが立ち昇っているようだ。


「失礼ねぇ。私が彼を不幸にするなんて、勝手に決めないでほしいわぁ♪」

「エリスさん。失礼ですがアナタには、ノーティス様を幸せには出来ません!」

「ウフフッ♪ あらそう。まるで、アナタなら幸せに出来るっていうような言い方ね」

「そ、そんな事……」


 ルミは急に恥ずかしくなり、顔を赤くしてうつむいてしまった。


「アハッ♪ 可愛いわねアナタ」


 勝ち誇った顔で、ルミを見下ろすエリス。


 今まで数々の男を手玉に取り、欲しい男はことごとく奪ってきたエリスにとって、恋愛経験の少ないピュアなルミを言いくるめる事など、造作もない事なのだ。


「それにね、決めるのはアナタじゃないの。アナタのご主人様であるノーティスでしょ♪ 違うかしら」

「うっ……それはそうですけど……」

「じゃあ、黙ってそこで見てなさい。アナタのご主人様がどうするのかを♪」

「うぅっ……」


 悔しさに震えるルミをよそに、エリスはノーティスに更に大胆に抱きつき、ノーティスの耳元で囁く。


「ねぇノーティス。私の事好きだったわよね♪」

「あぁ」

「そうよね。で、あのルミって子は執事よね♪」

「そうだ」

「じゃあ、これからアナタの彼女は私よ♪ 私がアナタを幸せにしてあげるわ」

「そうか……」


 ノーティスはそう言って、エリスをスッと見つめた。

 そんなノーティスの瞳を、甘美な妖しい瞳で見つめるエリス。


───フフッ♪ この男、使える上にチョロいわね。まあ、私の魅力にかかればこんなものだけど♪ これから、いっぱい貢がせてやるわ。アーッハッハッハッハッ♪


 そう確信し、心で下卑た高笑いを上げたエリス。

 だが、その時だった。


 ノーティスはエリスの手を腕からそっと外すと、エリスから少し離れ、笑いを堪えた顔で体を震わせた。


「プププ……アッハッハッハッ! ごめーーんエリス、堪えきれなかった」

「えっ? ど、どういう事よ?!」


 表情を変えキッと睨みつけてくるエリスを、ノーティスは呼吸を整えながらも、まだ軽く笑みを残しながら見つめる。


「いや、キミがあまりにも露骨だから、コントみたいに思えちゃって」

「コ、コントですって?!」

「いや、そうだろう。もし本気でいけると思ったんなら、どうかしてるよ。記憶力がよっぽど無いか、認識が歪んでるかのどちらかだ」


 呆れた顔でそう告げてきたノーティスに、エリスは顔を赤くしてたじろいだ。


「なっ?! 酷いわノーティス。私、アナタの事を本気で好きになったのに……」


 エリスはそう言って偽物の涙まで流したが、ノーティスには全く通用しない。

 むしろ、哀れんだ瞳をエリスに向けている。


「エリス……悪いけど、もしキミのその涙が本物だとしても、俺は何も感じない」

「な、なによそれ?!」


 エリスは驚きと怒りに目を大きく見開き怒鳴ってきたが、ノーティスの表情は変わらない。


「感じる訳が無いだろ。俺が無色の魔力クリスタルだと判った時に、皆と一緒になって俺を蔑んだキミからは」

「うっ……ごめんなさいノーティス!」


 エリスは一番痛い所を突かれ焦りの表情を浮かべながらも、まだ諦めずに縋り付く。


「あの時は私がバカだったの。今は反省してるし、ノーティス、アナタを愛してるわ! だから……」


 エリスが白々しい嘘を言って近付こうとしてきた時、ノーティスはルミの肩に手をやりグッと引き寄せた。


「え、えぇっ?!」


 ドキッとしたルミは、顔を赤らめてノーティスの横顔を見上げた。


「ノ、ノ、ノーティス様っ??!」


 ルミが、ノーティスの腕の中で顔を真っ赤に火照らせている中、ノーティスは真っ直ぐ見つめている。

 最後の足掻きを見せてくるエリスを。


「ねぇノーティス、無理しないで。そんな子より、私の方がいいでしょ♪ アナタがずーーっと好きだった私が、付き合ってあげるって言ってるのよ」

「エリス……何を言っている」


 ノーティスはそう言うと、エリスにニヤリとした笑みを向けた。

 それをノーティスの腕の中でチラッと見上げたルミは、一瞬錯覚を起こし目をパチクリさせる。


───ア、アルカナート様っ?


 そう。ノーティスのそれが重なったのだ。

 

 何にも揺らぐ事がなく、男は剣で、女は目で殺すノーティスの師匠、剣聖アルカナートを彷彿させるような、不敵な笑みと共に。


 そしてノーティスは、エリスにそんな笑みを向けたまま華麗に言い放つ。


「フッ、エリス。悪いが……もう、遅い!」

ノーティスは色仕掛けには靡かない……!

次話は女の子の新キャラ登場です♪


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― 新着の感想 ―
[良い点] エリス、露骨すぎる手の平返し。 ある意味ここまで来ると笑える。 そして既にもう何もかもが遅い。 でもこういう展開でエリスが今後どうなるか楽しみです。
[気になる点] これが普通だわな、現状で主人公がいいと思ってる子はハンカチの少女とルミって子だけだな セイラさんは別枠だし
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