8話
「よし、サーベルウルフの剥ぎ取り採取の開始だ」
サーベルウルフの死体をよく見ると、長く鋭い一本の牙には多数の傷が見られる。
「あー、これだとこの時点で最高品質は無理だな。まあこればかりは仕方ないか」
モンスターの剥ぎ取り採取の場合、品質はモンスターを倒す際にどう倒されたのかで決まる部分もある。
そもそもの素材がボロボロだけど、剥ぎ取りしたら最高品質です。っていうのはいくらゲームでもリアリティがなくなってしまうからな。
「あとは生産マスターの称号の効果が剥ぎ取り採取だとどのようになるかだな」
剥ぎ取り採取の場合は主にナイフを使って解体して素材を取る場合が多い。
「とりあえずやってみよう」
「一点集中スキル・オン」
「剥ぎ取り採取作業・開始」
サーベルウルフの死体に無数の輝く点と並んだ輝く点が現れた。
「頭の方にあるいくつかの点は牙の採取の方の点だな。身体の方にある並んだ点は毛皮の採取の点だな。っていうかここまで並んでると点というより線だな」
「まずは剥ぎ取り採取に影響がない部分で頭を切り離して、先に毛皮の剥ぎ取りの方をやってしまうか」
サーベルウルフの首の所に解体用のナイフを差し込んで切り離す。
それからほとんど線になっている輝く点に沿って毛皮を切り離す。
「よし、サーベルウルフの毛皮をゲットだぜ。品質はどうだ?」
サーベルウルフの毛皮、68%の高品質。
「結構ギリギリで高品質になった感じだな。牙になるべく傷をつけないで倒すには身体の方にダメージを与えて倒すから、毛皮がボロボロになるのは仕方ない。それで高品質で採取出来たなら上出来だ」
サーベルウルフの肉はあまり美味しくないため、肉は取らない。
「次のサーベルウルフの牙は普通品質にするわけにはいかない。特に丁寧な作業を心がけてやろう」
牙の近くにある輝く点にナイフを差し込んでいき、皮を剥いで頭蓋骨を取り出す。
「次は牙の取り外しだが、ナイフでいけるのか?」
輝く点にナイフを差し込んでも採取できる感じがしない。
どうする?
このまま強引に力を込めてナイフを差し込めば採取出来るとは思うが、品質が落ちるような気もする。
どうする?
「この方法は聞いた事はないけど、試しにハンマーとポンチでやってみるか」
切削加工作業をやる感じでポンチを輝く点に当ててハンマーで叩くと牙が綺麗に離れた。
その瞬間、牙が光り輝きだした。
「このエフェクトは採取マスターの効果で少し品質が良くなった証だ。これなら高品質を期待できるぞ」
サーベルウルフの牙、90%の最高品質。
「やった、やった、やったー!よっしゃぁーー!!」
「モンスターの剥ぎ取り採取でハンマーとポンチを使うって聞いた事なかったが、このやり方で成功したみたいだな」
生産マスターの称号もあるから、鍛冶でよっぽどのヘマをしなけば最高品質の銀狼の剣を作れる。
高品質でも10万リンは確実。
それが最高品質ならどのくらいになるんだろ。
最高品質ならオークショントレードの方が良さそうだな。
どのくらいまでいくんだろ、楽しみだな。ワクワクする。
ボクは急いで街に戻った。