51話
これから超耐熱ゴーレムのコアの採取だ。
「君がハヤトくんだね。俺は葛西ホクト、今日はよろしく」
レッドタートルのリーダーの紅亀ナルミの戦い方は遠距離から防御無視で最高火力で戦う。
そんな戦い方をするリーダーにモンスターを近づかせないようにするためにホクトさんがいる。
ホクトさんのスキル構成は盾、強身、二刀流、暗黒魔法、重装のスキル構成で二刀流タンクといわれているスキル構成で守り特化のスキル構成。
葛西ホクトさんはブラックドラゴンのナンバー2の葛西ケンタロウさんの弟になる。
昔はお兄さんと一緒に脳筋プレイヤーだったけど、レッドタートルに引き抜かれて守り特化になって紅亀ナルミを守ってる。
ホクトさんのすごいところは二刀流で盾を扱えるところ。多くのプレイヤーは二刀流のところが両手持ちのスキル構成にしている。
両手タンクのメリットはパーティー全員の防御力が上がるというところ。両手タンクだとモンスターのヘイトが誰かに向かっても全員の防御力が上がっているから事故が少なくなる。
二刀流タンクだと切れ間なく使える挑発スキルでモンスターのヘイトが誰かに向かう事はないから安全に戦えるメリットはあるが、盾スキルの挑発スキルを使えば盾の耐久値が減り盾が壊れるから二刀流タンクは赤字になりやすいというデメリットもある。
このデメリットがあるから両手タンクの人が多いけど、二刀流タンクの人ももちろんいる。
ホクトさんのすごいところはここからだ。普通のタンクの人は暗黒魔法のバフ魔法は防御力200%の割合にして戦う。だけどホクトさんは攻撃力200%の割合を紅亀ナルミにかけて戦う。
暗黒魔法のバフ魔法は防御力200%にすると攻撃力が半減になる。攻撃力200%にすると防御力が半減になる。
この場合、紅亀ナルミの攻撃力は200%アップになるが、デメリットになる防御力半減はホクトさんの方になる。
つまりホクトさんは防御力半減の状態でいつもタンクをやっているのだ。この状態でやっていけてるのはホクトさんは鋭い観察眼を持っていて回避しながら守りながらの戦い方が出来るから。
こんな戦い方が出来るなんて、きっとホクトさんもドラゴンセンスに目覚めているんだろうな。
って思ってると紅亀ナルミが来た。
「お待たせ。これから超耐熱ゴーレムのコアの採取になるけど、ハヤトくんにまずは決めてもらいたい事があるの」
なんだろ。
「私の戦い方は知ってると思う。だけど私の戦い方について来れるかどうかは私にはわからない。だからまずはボスの超耐熱ゴーレムじゃなくてザコモンスターの耐熱ゴーレムで連携確認をするのがベストだと私は思ってる」
たしかに連携確認もしないでいきなりボスモンスターと戦うのは無謀だ。
「だけど連携確認をしてると超耐熱ゴーレムを倒すまでに時間がかかってしまう。ハヤトくんだって超耐熱ゴーレムのコアを採取出来たら一刻も早くアテナの骨の製作に取り掛かりたいと思うんだよね」
たしかにそれもそうだな。っていうかなんかボクの事きちんと考えてくれてるんだな。
「だからどっちにするかはハヤトくんが決めて」
どうしよう。
早くアテナの骨の製作にとりかかりたいなら、いきなりボスの超耐熱ゴーレムを倒す方を選びたい。
だけど連携確認もしないでボスを倒すのも無謀な考えだとも思う。
どうしよう。
アテナの骨の製作は生産職の全てが詰まっているともいえる事だろう。そしてその先にドラゴンセンスの完全覚醒が待っている。
生産職に大事な事はなんだろう。
よく考えろ。
大事な事はなんだ。
よく考えろ。
・・・生産職にとって大事な事は安全第一だ。
生産作業は危険を伴う作業が多い。グライダーなどの回転工具の作業でいえば巻き込み事故や砥石の破損による怪我に注意が必要だったりもする。
動画サイトを見てたりすると、生産は楽しいっていう良い部分しか見えてこないが実際のリアルの現場では軽い切り傷やヤケドは頻繁に起こっている事でもある。
だからボクは安全第一でいく事にする。
「連携確認をして安全第一でいきたいと思いますのでよろしくお願いします」
「わかったわ。それじゃあみなさんよろしくお願いします」
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安全第一でいった事もあって無事に超耐熱ゴーレムのコアを採取する事が出来た。
これで全ての素材が揃った。
明日からはアテナの骨の製作に取り掛かる。
1日のハンデはあるけどアテナの骨は簡単に製作出来るモノではない。だからフクロウくんには負けたくない。
明日からは気合いを入れて頑張ろう。




