43話
大手クランのブラックドラゴンリーダーの黒崎リュウイチさん。
近距離、強身、盾、暗黒魔法、重装のスキル構成で暗黒騎士といわれているスキル構成。
このゲームでは暗黒騎士はいわゆるタンクといわれるポジションをやる人。
暗黒魔法のバフ魔法は攻撃力と防御力を割合で決めるのだがこのバフ魔法はマイナスにも振り分ける事が出来る。
攻撃力に200%、防御力に-100%で攻撃力2倍、防御力半減。
防御力に200%、攻撃力に-100%で防御力2倍、攻撃力半減。
攻撃力に50%、防御力に50%で共に1.25倍。
タンクをやる人はこのバフ魔法の割合を防御力200%で戦うので、普通のタンクの人の攻撃には期待していない。
だがリュウイチさんは違う。
守る時は防御力200%だけど、攻撃する時は攻撃力200%で戦うため、リュウイチさんはタンク兼アタッカーとして戦う事が出来る人。
重装スキルは魔法の詠唱に時間がかかる。集中スキルがあればそのデメリットはなくなるが普通の暗黒騎士は集中スキルを持っていない。
リスクが高すぎるため普通の人はバフ魔法をスイッチングして戦う事はしない。
リュウイチさんはスイッチングの見極めが凄いためこの戦い方が出来ているのだ。
このゲームではパーティーは4人まで組める。
タンク1人、アタッカー2人、ヒーラー1人のパーティーが定番。
リュウイチさんがいればスイッチングの戦い方が出来るため、アタッカーが1人増えた実質5人パーティーで戦っているようなもの。
ボクはこのリュウイチさんの戦い方をきちんと見ておかないといけない。
神の鍛冶場を作るのに必要な素材、超耐熱ゴーレムのコア。
超耐熱ゴーレムのコアを神品質で採取するには採取出来るようになってから、1分以内に採取しないと劣化していく。
だからボクもパーティーの一員として戦闘に参加して採取しないといけない。
でもそれは死ぬリスクもある。ボクのスキル構成ではパーティーに参加してもただの置き物。むしろ邪魔者でしかない。
超耐熱ゴーレムは強いボスモンスターでもある。
普通のパーティーでも苦戦するモンスター。でもリュウイチさんと一緒ならなんとかなるかもしれない。
だから今日はしっかりと見極めないといけない。
もしダメだったら・・・イヤ、今はその考えをしないようにしよう。
そんな事を考えていると黒崎リュウイチさんがパーティーのみんなと姿を現した。
「遅くなってすまないな。今日はメリーさんから話を聞いてパーティーメンバーの編成を変えたため打ち合わせが遅くなってしまった。それで頼んでおいたモノは持ってきてもらう事は出来ただろうか?」
ボクがリュウイチさんから頼まれていたモノ。それはアダマンデスソードを2本。
これを使うのはブラックドラゴンのナンバー2の葛西ケンタロウさん。
近距離、強身、二刀流、暗黒魔法、重装のスキル構成で二刀流暗黒剣士といわれているスキル構成。脳筋と呼ばれる攻撃特化のスキル構成。
暗黒魔法の代わりに魔法スキルを構成している人もいるが、暗黒魔法の方が火力がある。
暗黒魔法のバフ魔法は闇の衣を身に纏う。これに触れたモンスターは固定ダメージを負う。
攻撃の時はもちろん、防御の時でもダメージを負うからタンクには暗黒騎士が1番向いている。
この固定ダメージのおかげで二刀流暗黒剣士は脳筋と呼ばれるアタッカーとして活躍出来ている。
今日持ってきた2本のアダマンデスソードには錬金効果を付けている。
死の虹を採取した時にいたモンスターを倒すと手に入る素材、死返玉。
これを素材に錬金すると暗黒属性と神聖属性が付加される。
今回錬金付加されたアダマンデスソードの詳細確認。
近距離攻撃力3000
MP+2000
最高品質、攻撃力アップ1.5倍
錬金効果
暗黒属性攻撃500
神聖属性攻撃500
攻撃力アップ10%
暗黒属性と神聖属性の値が500なのは品質が普通品質だったからだろう。
最高品質だったら1000はいっていただろう。じゃあ神品質だったらどのくらいの値になるんだろうか。
もう1本は攻撃力アップのところが防御力アップ16%になった1本。
脳筋の人に防御力アップの錬金効果だからちょっと申し訳ないが時間がなかったためこれしか出来なかった。
「こちらになります」
「おぉー、すごいじゃん。付いてる錬金効果はともかく、15%超えの錬金なんて見た事ねぇぞ」
申し訳ない気持ちだったが喜んでもらえるのはやっぱり素直に嬉しいもんだな。
「葛西ケンタロウは有名だから紹介はいらない感じかな。今日のパーティーは俺とケンタロウとメリーさんともう1人。こちらも幹部候補だからきちんと紹介しておこう」
紹介された女性、亀梨カリナ。
近距離、強身、神聖魔法、集中、重装のスキル構成で殴りヒーラーといわれているスキル構成。
あれ、この人亀梨マリナさんに似ているな。
「亀梨カリナです。亀梨マリナは私の姉になります。本日はよろしくお願いします」
急だったためヒーラーさんの分の武器まで準備出来なかったが、ナンバー2の葛西ケンタロウさんにボクの作った武器を持ってもらう事が出来た。
よし、準備は万全だ。
アラスカサーベルタイガーはボスモンスター。
気合いを入れて討伐だ。
あっ、倒すのはボクじゃないです。




