3話
錬金スキルのレベル上げ。
錬金スキルで出来る事は主に2つ。
1つはポーション製作。
ポーションはHPやMPの回復が出来るアイテム。瞬時に回復できるタイプと持続的に回復できるタイプのポーションがある。
他にはステータスアップ系のポーションがある。
もう1つは武器や防具などのアイテムに付加能力を付ける事が出来る。
付加能力を付ける作業は手間もかかるし、品質の高い素材でないともったいないから、ほとんどやった事のない作業。
だから錬金スキルのレベル上げはポーション製作で行う。
ポーション製作は簡単に出来る。
魔力水と呼ばれる液体に薬草を入れて、煮込むとポーションは出来上がるからだ。
それに魔力水は簡単に手に入る物。
だが高品質のポーションを作ろうとして、高品質の魔力水を準備するなら、話は変わってくる。
魔力水の作り方は水の中にミスリル鉱石を入れると出来上がる。
ミスリル鉱石があれば魔力水は簡単に作れるから、魔力水は簡単に手に入る物。
だけど高品質のミスリル鉱石はほぼ手に入らない。
このゲームのサービスが開始されてから、1年半経つが、高品質のミスリル鉱石を手に出来た人は大手のクランしかいない。
だから高品質の魔力水を準備するのがどのくらい大変なものかわかる。
レベル上げで使う魔力水は始まりの街にある錬金ギルドの作業場にあるから、それを使う。
もちろん錬金作業もMPをかなり使うから、一点集中スキルを使いながらの作業。
「一点集中スキル・オン」
「錬金作業・開始」
コンロに鍋をセットして、魔力水を入れて火にかける。
そして煮立ったら薬草を投入。
しばらくすると綺麗な赤色になってくるから、そこで火を止めてポーションの完成だ。
「錬金作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
出来上がったポーションはもちろん普通品質だ。
「まぁ、こんなもんだよね」
これで今日のノルマは完了だ。
あとは出来上がったアイテムを売りに行って、今日はゲームを終わろうかな。
アイテムの売買はマーケットシステムを使って行う。
普通品質の鉄インゴットや普通品質のポーションであれば、供給過多で最低の値段で取引されている。
どちらも100リンで取引だ。
リンというのはこのゲームでのお金の単位。ちょっと円を意識しているからリンにしてるみたい。
今日は鉄インゴットもポーションも30個ずつの取引だから、6000リンの収入。
このゲームでの一回の食事が1000リンくらいだから、現実世界の日本の最低賃金よりちょっと下回るくらいの収入だ。
このゲームはリアルマネートレードもされていてレートは1円:1リンで取引されているから、ゲームだけをして暮らしている人も多くいて、ボクもその内の1人。
アイテムも売り終わって、リアルマネートレードも完了したから、ゲームを終了して現実世界に戻るとするか。