23話
火山に住むマグマ貝。
マグマの温度は地表近くで800~1200度。
だからこのマグマ貝の貝殻は炭酸カルシウムじゃなくて酸化カルシウムで出来ている。
『アテナの骨』の製作にはこの酸化カルシウムが必要でもある。
そしてこのマグマ貝から採取できる溶岩真珠は魔法使いが装備する杖に使う事も出来るし、砕いて粉末にすれば状態異常を回復出来るポーションも作れる。
バリドルのアイナさんの格好は魔法使い系の格好をしていたから、溶岩真珠を使った杖を作るのがいいだろう。
この杖を作る時に持ち手になる部分で必要な素材、百火カマドの枝。
百火カマドの枝を炭化すると火属性の魔法の威力が上がる効果がある。
そしてこの百火カマドの枝は炭にすると、炭化ケイ素になり、この枝を繊維状に加工して出来上がる耐熱性のある手袋、百火カマドの手袋がマグマ貝の採取には必要。
「百火カマドの枝の採取して、神の鍛冶場で炭化して、杖の持ち手になる部分を作るのと手袋を作る。それからマグマ貝を採取して溶岩真珠を取り出す。上手く出来た一連の流れだな」
炭化ケイ素を作るのには2000度まで上げる必要があるから、1768度が融点のプラチナの温度計だと作れなかった。
おそらく百火カマドの炭化も同じくらいの温度が必要だろう。
「よし、まずは百火カマドの枝を集めるか」
百火カマドの枝はマイハウスの庭で百火カマドの木を育て、その枝を伐採して採取する。
だけど今のボクではそれが出来ないから、マーケットで買うしかない。
「マーケットだと基本的に普通品質しかないから、神品質の武器を作れない。まぁそこは妥協するしかないよな」
と思いマーケットを見ていると高品質の百火カマドの枝の束を見つけたので即購入。
百火カマドの枝の束、70%の高品質。
百火カマドの枝はそのままでも武器の素材になるため、マイハウスの庭に植えている人は多い。
「高品質の百火カマドの枝が手に入るなんて幸先いいな。じゃあ早速、この枝を炭化させるか」
「一点集中スキル・オン」
「鋳造作業・開始」
百火カマドの枝を炭化させるためには枝に酸素を供給しないようにする。
酸素が入ると普通に燃焼して灰になる。
「銀の時と同じように魔力でコーティングして酸素が入らないようにして慎重にやる必要がある」
ちなみにだが百火カマドの花言葉は超慎重。
「温度管理は超慎重になる必要がありそうなのが怖いところだな」
そして神の鍛冶場になってからの初めての鋳造作業。
プラチリルの温度計と青海月水晶の時計はどのような点を指し示すのだろう。
ボクは炉の温度計と時計を見ながら、魔力を流し込んでゆっくりと温度を上げていく。
すると温度計と時計に輝く点が見える。
温度計は185度、時計は40分。
次は・・・
温度計は525度、時計は68分。
温度計は965度、時計は110分。
次は・・・
温度計は2000.025度、時計は207分。
1分間に5度上げるのか。っていうか温度計の少数点が細かいな。
まぁいい、超慎重に温度管理をしていくだけだ。
「よし、そろそろ温度計は2000度だ」
すると温度計と時計に輝く点が見える。
温度計は2000.026度、時計は120分36.9315秒。
「このキープ時間でちゃんとした炭化になるんだな。っていうかこの秒数で止めれるわけないじゃん」
もしかしてスローモーションシステムが必要っていうやつか。
死んでスローモーションシステムをやるわけにはいかないから、女神の加護がついたアイテムを作ってからじゃないと神品質は出来ないのか。
でもそれだと神品質を作るのに運が必要・・・うん・・・うんこ・・・クロロ豚のうんこ・・・
アッーーーーー
「とりあえず今は何も考えずに作業を進めよう」
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「よし完成だ。やっぱり時計は輝く点に合わせる事は出来なかったが、今は仕方ない」
「鋳造作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
炭化百火カマドの枝の束、85%の高品質。
「さすがは神の鍛冶場だけあるな。15%もアップ出来るなんてすごいな。1本はアイナさん用、残りの素材で手袋を作ろう」
「一点集中スキル・オン」
「成形加工作業・開始」
ボクは炭化した枝に魔力を流して、繊維状にして腕全体を覆う事ができるアームカバー付きの手袋を作った。
「成形加工作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
次は火山に行って、マグマ貝から溶岩真珠の採取だな。




