2話
[ノーデスボーナスを授かりました]
突然流れてきたシステムメッセージ。
何かの称号をゲットしたのか?
「ステータスオープン」
両手の指をL字に開いて、ピンチアウトの動きをする。こうする事によってステータスが見れるようになる。
「称号の欄は・・・っとこれだな」
今までボクが持っている称号は1つだけだった。
採取マスターの称号。
これはスキルレベルがMAXになるともらえる称号。
採取マスターの称号があると、採取した際に一定の確率で品質が少し良くなる効果がある。
このゲームでは採取されたアイテムは最高品質でも必ず1%の損失があるようになっている。
だから採取マスターの称号持ちじゃないと損失ゼロの神品質のアイテムをゲット出来ない仕様になっているのだ。
「新しくゲットした称号は・・・」
ボクはそこに記された文字を見て驚愕した。
「ノーデスの称号。1年間死んだ事がない者に送られる称号。この称号は一度でも死ぬと消えます」
あー、そうか。ボクは始まりの街から出てないから、まだ死んでいなかったんだ。
「この称号の効果は・・・」
「!!!」
「・・・全ての敵がノンアクティブになります」
マ、マジか!これなら生産特化の今のスキル構成でもやっていけるんじゃないのか。
そういえば、始まりの街にいるNPCの職人さんが言ってた言葉があるのを思い出した。
「生産職は下積み時代にどう過ごすのかが重要だ。最低でも1年は下積みを経験した方がいい」
この言葉の本当の意味は1年間死なずに下積み時代を過ごせば、敵がノンアクティブになるからって事だったのか!
この称号の存在はまだネットにも出てない誰も知らない称号。
もしかして、死んで慣れろっていうキャッチコピーがあるゲームで未だに死んでいないのはボクだけなの?
何はともあれ、ノーデスのこの称号だけは死んでも守らないといけない称号だな。
ノーデスなのに死んでも守る・・・
1人でこんな事を考えているようだから、ボクの周りには誰もいなく常にボッチなのだ。
「いろいろ考えるより、今は先に鍛冶スキルと錬金スキルをMAXにする方を考えよう」
今日もいつものノルマをこなす。
まずは山に行って、鍛冶に必要な鉄鉱石の採取。
鉱石系の採取自体は非常に簡単。金属に目印をつける時に使う道具のポンチとハンマーを持って鉱石が埋まっている壁を叩くだけで手の大きさくらいのサイズの鉱石が採取できる。
この時点だと魔力の損失はないため、鉱石系の採取は戦闘職の人でも簡単に採取出来る。
だけど、このままだと鉱石の周りには余計な石が付いている。そしてかなりの重量がある。
このゲームでは採取スキルを持っている人と鍛冶スキルを持っている人だけがこの余計な石を取り除く切削加工をする事が出来る仕様。
周りの余計な石の除去もハンマーとポンチで行うのだが、これが結構難しい。
そのため鉱石系のアイテムの魔力損失は大きく、良くても普通品質ばかり。
だから出来上がる武器や防具も普通品質より上は作られていないのが、このゲームの現状。
「よし、鉄鉱石の採取はこの辺にして、切削加工作業をするか」
手の大きさサイズの鉄鉱石。でもこれはゲームのアイテムでもある。
くすんだシルバーに光る鉄鉱石の周りに茶色の石が付いているのをポンチとハンマーを使って落としていく。
ゲームだからこの切削加工作業にはMPをかなり使う。
普通にこの作業をすればすぐにMPが尽きてしまうから、集中スキルにある一点集中のスキルを使う。
この一点集中のスキルは高速でMPを回復出来るが、その間ダメージが2倍になるデメリットがあるスキル。
戦闘では魔法職の人がこのスキルを使うが、使い所が難しいスキルでもある。
でも今のボクの周りには敵がいないから、安心安全で使えるスキル。
「一点集中スキル・オン」
「切削加工作業・開始」
ボクはポンチとハンマーを持って鉄鉱石を叩いていく。
「まぁ、こんなもんかな」
「切削加工作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
ボクは出来上がった鉄鉱石をアイテム袋にいれて、山を下りて鍛冶が出来る作業場に向かった。
~~~
「よし、鋳造作業で鉄鉱石をインゴットにするか」
ゲームだからこの鋳造作業でもMPをかなり使うから一点集中スキルを使いながら作業をする。
「一点集中スキル・オン」
「鋳造作業・開始」
このゲームの鋳造作業は温度管理でアイテムの魔力損失が決まる。
鉄鉱石の鋳造作業は基本的な事なので、チュートリアルで教わるが、これで出来上がる品質は50%の普通品質の鉄インゴット。
「よし、鍛冶スキルのノルマはこれで終わりだ」
「鋳造作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
今日の鍛冶スキルのレベル上げのノルマは終わったから、次は錬金スキルのレベル上げをするか。




