10話
ボクは食事を済ませて、作業場に戻ってきた。
「次はサーベルウルフの牙の研磨だな」
牙の研磨は卓上の両頭グラインダーで2種類の砥石を使って牙のエナメル質を削って、象牙質の部分を剣の軸に使う。
「一点集中スキル・オン」
「切削加工作業・開始」
両頭グラインダーに元々装着していたのは100番手と400番手の砥石。
砥石の番手は数字が少ないほど粗い目という事を表す。
こういう研磨作業では、始めに100番手で荒削りして。400番手で仕上げるという感じで研磨する。
だけど今ボクの目には、壁に置いてある160番手と300番手と600番手の砥石が輝いて見える。
「2工程の研磨ではなく、3工程で仕上げろって事か。たしかに600番手までやった方が銀を成形する時のノリはいいだろう」
・・・ゲームでの生産作業はたしかに楽しいんだけど、こういうのはリアリティを追求しなくてもいいんだけどな。
ここまできたらめんどくさいけど、妥協するわけにはいかないよな。
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「フゥー、研磨作業終了だ」
「切削加工作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
切削研磨して象牙質だけになったサーベルウルフの牙を眺める。
「やっぱり丁寧な作業をしただけあって、いい出来だ」
「次はインゴットを溶かして、サーベルウルフの牙と銀を合わせての成形作業だな」
成形作業は剣の軸を剣の形をした型にはめ込み、溶けた銀を流し込んでいく。
わざわざインゴットにしないで、始めから溶けた銀を流し込めばいいようにも思うが、銀はいろんな物と化合しやすい性質があるため、銀と魔力を混ぜながらサーベルウルフの牙と一緒に成形する。
鋳造の時と違って、銀インゴットを溶かす際の温度カーブは特に気にしないで965度まで上げて、溶けた銀とサーベルウルフの牙を合わせる。
「一点集中スキル・オン」
「成形作業・開始」
象牙質になったサーベルウルフの牙を剣の型にはめ込み、溶けた銀を流し込みながら魔力を使い、サーベルウルフの牙と銀が馴染むようにしていく。
この作業は特に注意するところはないので、生産マスターの称号の効果の輝く点は見られなかった。
「成形作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
「あとは少し冷ましてから、仕上げ研磨だな。でもこの感じだと仕上げ研磨も大変そうなんだよな」
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「そろそろ仕上げ研磨を始めるか。さてさて、仕上げ研磨作業では生産マスターの輝く点は何を示すのか」
最後の仕上げ研磨は研ぎ石を使って研いでいく。
「一点集中スキル・オン」
「研磨作業・開始」
普段使うのは1000番手のみ。
「輝く点は・・・1000番手だ」
あっ!
「3000番手と8000番手も輝いているよ。マジかよ」
こうなるともう気合い入れて、研いでいくしかないよね。
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「完成だ!8000番手で研いだ剣は綺麗な鏡面仕上げのように光り輝いてるな」
「さてと、肝心の品質はどうなった?」
採取はマイナス補正。鍛冶はプラス補正と言われている。
「どうだっ?」
品質を見ようとした、その瞬間。
眩しく光り輝く女神アテナのエフェクトが現れた。
銀狼の剣、100%の神品質。
「か、神品質ってマジでーーー!!!」




