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虚無の聖典  作者: 枝豆た
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第九節~第十節

煩悩の神は西を目指して走る、二人のために、あの約束を果たすために、、、

第九節  欲望


 煩悩の神は走った、ひたすらに走った、二人のために、何度も忘れかけた、あの思い出を、何度も忘れかけた、あの笑顔を、何度も忘れかけた、あの最後を、何度も忘れかけた、あの約束を、、、忘れかけるたびにあの言葉を思い出し、ほかの記憶を消していく、昔、世界を手に入れんとしたときの仲間のことや、辛かったこと、楽しかったこと、うれしかったこと、苦しかったこと、全ての記憶がそれを生かす、、、煩悩の神はもう、自分の名前すらわからないまま、暗闇の中をかき分け進む、自分がなぜ暗闇の中にいるのか、なぜこの記憶をそんなに大事にしているのか、なぜその記憶を消せないのか、二人の笑顔はどんなだったろうか、声は?、顔には(もや)がかかっている、、、またそれを忘れそうになる、いつもその瞬間激しくいやな気持ちになる、本当に嫌な気持ち、いやだ、消さないでくれ、お願いだ、、、自分はどんな顔をしていただろうか、やめてくれ、消すんじゃない、、、自分に手などあっただろうか、お願いだ、、、歩くってどうやるんだったかな、、、もう自分が分からない、いったい何なんだろうか、ここはどこだ、俺は一体、、、もう、、何も、、、。


 煩悩の神はその場で息絶えた、

     あたりの漆黒が彼を飲み込もうとする、じりじりと、確実に、、、


 煩悩の神は夢を見ていた、あの時の夢を、とても過酷ではあり、とても楽しかったあの時の夢を、すると~~~がゆうのだ、「きっとあっちだって!私には見える!絶対あっちだって!」~~~が指をさす、その先には漆黒が広がっている「俺たちは~~~のほうへまっすぐ進んでいるんだ、方向を変えたら永遠につかんぞ」

~~~も同じ意見だった、~~~いわく光の筋が見えたらしい、こんな場所に光などあるはずがないのに、ばかばかしい、、、「ほら行くぞ、」そのまままっすぐ進みだす。


 もし、あの時~~~のゆうことを聞いていたら、~~~たちを失わずに済んだのかな、~~~はまっすぐ進みだす、この先には、、、、、、、、、、、、、。


 煩悩の神はそこから先のことは覚えていないらしい、神々はその事実をしり、これから先に未来はなく、あの忌々しい漆黒のみが広がっているとゆう果てしなく残酷な未来に絶望した、そこには西の神に殴りかかろうとする者はおらず、ひたすらに何も起きず、沈黙のみが時を支配していた、誰もがただただ無になり終わりを待つ中、一人の神が白紙の本を取り出した、そう、西の神だ、彼のみがこの中で唯一漆黒への抵抗をあきらめてはいなかったのだ、西の神はその白紙の書物に、残れる神々の欲望、願いを書き綴り、その膨大な 記憶 を使い少しでも神の存在を残せないかと考えたのだ、それを聞いた神々はその白紙の本に各々様々な欲望を書いた、会いたい、食べたい、飛びたい、その中でも最も多かったのはやはり生きたい、まだ生きていたかったとゆう純粋な欲望であった、漆黒は世界のほとんどを飲み込んでいた、それは西の城を飲み込もうともしていた、それを見た西の神は、まだ外に神がいるかもしれないと、一匹の小鳥にその本を託すと窓から飛び立たせた、「最善は尽くした、私たちは抵抗する、最後まで、、、」西の神は一言、そう言い残すと、漆黒へと飲み込まれてしまった、、、。


 漆黒が世界の全てを飲み込み終わりつつあるこの世界で、たった一人、                  神がいた、漆黒は彼のすぐそこまで来ており、じりじりと彼を追い詰めていた、そんな中彼のもとに空から一冊の本が降ってきた、それを一目見ると彼はすべてを察し、「私が最後か、、」そう言い残し、神々最後の願いを書き留めるとゆっくりとその本を空へと投げた、本はひたすらに上へ、上へと昇っていく、その本が見えなくなるまで昇って行ったとともに彼の目の前は真っ暗になった、、、


         「届くといいな、、、後世に、、、」


 世界は漆黒に飲まれてしまった、その後起こることはこの物語を見たあなたならわかるはずだ、その漆黒はめでたき覚醒とともにすべてを ボイド へと連れていく。

 彼の名は 二ヒリティ 虚無の神である、二ヒリティ様はお救いになる、世界を、二ヒリティ様は取り除いてくださる、苦痛を、、、想像を絶する苦痛が現れた時、ともに現れる救済の星。


 二ヒリティ様お救いください、二ヒリティ様お救いください、

     二ヒリティ様お救いください、二ヒリティ様お救いください、、、。


第十節  、、、、、、、、


 世界には何もなかった、そこにあるのは なにか 、ひたすらに際限なくなにかが広がる、それこそが世界の形であった、しかしある時突然、そのなにかから、意味のあるものが生まれた、それは 母体 といい、今後世界の形を大きく変える特異点である、母体は世界でたった一人、意味のあるものとして存在していた、彼女は世界で唯一の存在を楽しんだ、しかしその喜びはすぐに退屈へと変わり、母体は願う、新たな意味を、自分以外の意味を、母体はいつも なにか を使い、何かを作る、しかしそれはあくまでも なにか であり、意味を持つことはなかった、母体は悲しんだ、孤独であることを、意味を見出せないことを、それでも母体はあきらめなかった、常に意味を見出そうと、なにかを固めてみたり、なにかをばらまいてみたり、、、しかしそれは なにか であった、何をしても なにか は なにか である、母体の心はもう擦り切れてしまいそうだった、母体はただただその なにか を見つめている、そこに意味などなかった、ただただ見つめるだけ、そのなにかを、そして母体はすべてをあきらめようとした、その時、その 何か は一つの意味を持った、それは虚無、母体の諦めはそこには何もないとゆう新しい意味を見出したのだ、母体は孤独から解放された、母体は自分以外の意味との日々をたいそう楽しんだ、そして母体は知った、孤独であることの苦しさと、他者とのかかわりの大切さを、それは母体にとある決断をさせるのに十分であった、そう、母体は世界を作ろうとした、様々な意味を持つ者たちが溢れるその楽園を、、、それを決意した母体は陸を、海を、山を、森を、林を、世界を構成する要素を何かから創造し、それらと長い長い時を過ごした、それにより世界はただ なにか が広がる所から、何か、明確な意味を持つものへと変わった、その明確な意味はお互いに干渉しあい、新たな意味を、そこから更なる意味をと世界に意味を溢れさせた、母体は世界の創造に成功したのだ、これこそが母体の思い描いた楽園、孤独のない世界、、、。


 しかし母体は忘れていたのだ、、、それはこの世界には必要のないもの、それは長い長い間ないがしろにされてしまった、それは大いに湾曲し、ねじ曲がり、孤独にさいなまれ、確実に狂っていった、それは全てを奪おうとした、楽園を、孤独の元凶を、その悲しき記憶と共に、、、


         自らを救済するために、、、、。

世界はこうして作られ、滅んだ、虚無の神は自らの母が作りし世界を拒み、なくそうとした、なぜならこの世界に彼は必要がないからだ。しかし世界はまだ終わっていない、希望はまだその虚無の中を漂っているのだ、、、、

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