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虚無の聖典  作者: 枝豆た
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第三節~第四節

世界は終焉を迎えた、これはその終焉が訪れる前の話。

なぜ終焉は訪れたのだろうか、、、

第三節  聖女セラフィア


 世界が二つに分かれ争う最中、東の辺境の地にその娘はいた、彼女の名はセラフィア、心優しく村の人々からも厚い信頼がおかれた村娘だ、彼女には特殊な力があった、彼女のその生血は人々を癒した、傷はもちろんのこと、不治の病と言われたはやり病をもその力をもっていやすことができた。


 ある日彼女がいつもどおり水を汲みに川へ行ったときのことだ、そこには若い男が倒れていた、その男は致命傷を負っており、すぐに治療が必要なほどであった、彼女はすぐに自らの血をその男に与え、村で看病し、男はみるみる内に回復した。


 月日がたち男は完治し村を出て自らの都に帰っていった、そうしていつもの日常が戻ると思った矢先、東の国から兵隊がやってきたのだ、彼らは不思議な力を持った女を出せと村人たちに一喝すると、村長へととびかかった、ただ事ではないと感じた村長は、男たちにそんな奴は存在しないと言い放った、すると兵隊たちはその武装を使って村長を痛めつけはじめた、「早く出ないとこいつがどうなるかな?」そう兵隊が一言いうと、群がる村民の中から一人の村娘が私だといわんばかりに現れた。

 娘の末路は誰もが容易に想像できた、娘はそのまま兵隊たちに東の国へ連れ去られてしまった、村人たちはその後ろ姿をただただ見るだけであった、自らが生きるために、目の前にその身を投げうち村民を守った者がいるのにもかかわらず、その生血を使い村を守り、多くの人たちに多くの恩をあたえた者が連れ去られようとするのにも関わらず、、、。


             誰も、何もしなかった。


第四節  召喚


 どこからかその力の存在を知った東の神はたいそうその力を欲した、東の神は不死の力を与えることができた、しかしその不死の力は体を癒すことはできなかった、西の神との戦いでボロボロになって帰ってきた神兵を再び戦わせるには莫大な時間を有した、西の神に押されている東の神としては何としても手に入れたい能力であった、そんな東の神がかの能力を手に入れたのだ、この後起こることはとても容易に想像できよう。


 村娘は東の国の地下牢獄に閉じ込められた、ここからは口にするのもおぞましい地獄が始まった。

 彼女は毎日その血を取られた、最初は手首を切られその滴る血を取られた、しかしそれでは量が足りない、次に首を切られその溢れる血を取られた、しかし彼女はその癒しで死ぬことはなかった、これであれば沢山の血が取れた、次に誰かが苦しめるほど血の出がいいといった、彼女は毎日ひどく痛めつけられた、しかし彼女はその癒しでどんな生傷もたちまち癒した、確かに血の出がいいように感じた、彼女の悲鳴は毎日鳴り響き、聞こえない時などなかった、最後のその時まで、、、。


 彼女はどんなに苦しくても死ねなかった、自らの力によって、彼女はひたすらに信じた、村長たちが武器を取り助けにやってきてくれると、しかしその時は一向に訪れない、だが彼女は信じるのをやめなかった、毎日毎日助けてと、幾日も幾日も助けてと、どんな時でも助けてと、、、、、、いかほどの月日がたっただろうか、それでも彼女は信じ祈るのをやめない、彼女の心身はいたって健康だった、なぜなら自らの癒しの力があるからだ、しかし今日は少し違った、いつものように痛めつけられ血を取られた後、癒されつつある心身の中一つ心に描いた昔の自分、彼女は一言力なくこうつぶやいた 「たすけ、て、、、、」 と、すると目の前が暗転し、全ての感覚がなくなった、


          彼女はただただ暗闇に飲み込まれたのだ

こうして世界は終焉を迎え始める、これからは絶望の物語、神々はあがく、最後まで。

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