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第16話 逃げる変態たち

「なっ……何故だっ!? お前は、一人ずつしか消せないはずじゃ……お、覚えてろっ!」


 僕に話し掛けて来た男が、大慌てで逃げて行く。

 これに懲りたら、もう来ないで欲しいんだけどな。


「お兄ちゃん、凄ーい! あんなに大勢の人に囲まれていたのに!」

「まぁ運が良かったよね」

「違うよー! お兄ちゃんが凄いんだよー!」


 クリスが喜びながら抱きついてくるけど……その僕たちを囲んでいた人たちは、どうしよう。

 とりあえず、前みたいに一人ずつ解放していくしかないのかな?

 二十人以上居て少し面倒なので、先に新しいスキルを試してみる事に。


「≪ゴミ分類≫」


――分別するゴミを選択してください――


 なるほど。ゴミを選んでから使うタイプのスキルか。

 試しに、さっき収納したばかりのゴミの中から、「壊れた掛け時計」を選択してみると、鉄の歯車、鉄のネジ、木材、ガラス……って、部品に分かれた!


 ゴミ修理スキルを使う時、消費する材料でこの掛け時計を選ぶと、鉄だけが必要でも、掛け時計が丸ごと消えてしまう。

 これからは、分別して必要な材料だけを消費……って面倒臭いよ!

 そう思って、分別スキルを使わずに別のゴミを修理すると……あ、自動で分別されてた。

 どうやら、ゴミ分別スキルはパッシブスキル――自動発動スキルらしい。


 ちなみに、僕たちを襲おうとした男にゴミ分別スキルを使ってみると、その人の持ち物が全て外された。

 その状態でストレージから出すと、


「ん……何だ? やけにスースーするな……」

「やだぁぁぁっ! 変態っ! 変態だよーっ!」

「誰が変た……えっ!? えぇっ!? どうなってんだーっ!」


 全裸の男が現れ、猛ダッシュで逃げて行った。

 怯えるクリスを宥めつつ、順次他の男たちを解放していく。

 だけど二十人以上も居るので、たまに再び襲い掛かかろうとしてくる男が居て……うん。そういう人は再びストレージに入ってもらい、全裸になってお帰りいただいた。


「クリス、もう大丈夫だよ。終わったから」

「ホント? もう、変な人は居ない?」

「うん。さぁ、宿に帰ろう」


 何故か涙目になっているクリスの手を取り、街の中心に向かって歩きだすと、僕たちの前に人影が立ち塞がる。


「へぇ。誰かと思えば、カーティスじゃないか。ゴミ捨て場に居るのは、やっぱり自分がゴミだって分かっているからか?」

「ジェームズ……どうしてここに?」

「あぁ……雇った奴から、時空魔法を使う奴が居るって聞いてさ。そんな高等魔法を使える奴なら、引き抜こうと思ってな。だが、とんだ無駄足だったぜ。まさか、それがゴミスキルを授かったアンタだったなんてな!」


 そう言って、ジェームズが先程俺たちに話し掛けてきた男を蹴り飛ばす。


「……シャルロット。マリーの位置はどうなっているんだ?」

『マリーは街の南西から動いておりませんが?』


 くっ……別行動か。

 マリーの動きに気を付けていれば、ジェームズとも会わずに済むと思って、油断していた。


「ところで、カーティス。こんな所で何をしていたんだ?」

「ジェームズには関係の無い事だ」

「そうか。じゃあ、質問を変えよう。アンタ、何か銀色のカードを拾わなかったか?」

「知らないね」

「本当か? この辺りに、そのカードを持っている奴が居るっていう情報があるんだけどよ……まぁいいや。わざわざ、こんなゴミ溜めみたいな場所まで連れて来られたんだ。その憂さ晴らしをさせてもらうぜ! アンタでなっ!」


 ジェームズがニヤニヤと嫌な笑みを浮かべると、後ろ手に隠し持っていた杖を構える。

 そう来たか。

 実家を追い出されたけど、血を分けた実の兄弟だし、直接攻撃したりはしないだろう……そう思っていた俺が甘いのか。

 ジェームズに一歩遅れて、俺も杖を取り出したが、


「はははっ! ゴミスキルで、せいぜい足掻いてみろよ! ≪アイス・ストーム≫」


 先に攻撃魔法を放たれてしまった。

 しかもあれは、氷魔法と風魔法の複合魔法で、激しい風によって動きを封じられる上に、凄い勢いで氷の塊が飛んで来る。

 とにかく、クリスを守らなければと、僕の背中に隠した所で、


『カーティスさん、そこはダメです! 左へ三歩、前に一歩移動してください! 早くっ!』


 突然シャルロットが叫ぶ。

 訳が分からないけど、これまでにないくらい緊迫した様子だったので、クリスを背中に隠したまま移動すると、


「な、何故だっ!? 今のは高位の攻撃魔法だぞ!? どうして中位魔法しか使えないお前が防げたんだっ!?」


 何もしていないのに、飛び交う氷の塊が全て僕たちを避けていった。

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