07 お家
なかなかに広いお庭に囲まれた小さな一軒家。
あれが私たちのお家です。
王都勤めの初めの頃は本部の近くの寮に住んでいたのだけれど、『読心』のせいで街中の人混みで具合が悪くなってしまうことが多くて、メイジさんが探してくれた郊外のこの家を私の蓄えで購入しました。
小さな家だけど、四人暮らしでもきっと大丈夫。
お風呂はちょっと、狭いかも、ね。
「ようこそ、ここが今日からみんなで暮らすお家です」
リベリカさんが玄関の扉を開けてもすぐに入らないできょろきょろ中を見回している様子が、なんだかねこちゃんが警戒しているみたいで可愛らしいです。
「早く入ってよ、リカ」
リベリカさんのお尻とおんぶされているアルマーヤさんのお尻をフルミネさんが押しながら、家の中へ。
娘たちが仲良しさんで、お母さんはとても嬉しいですよ。
「あちらの大きなお部屋なら、三人一緒でも大丈夫かしら」
私の寝室はこの家で一番狭い部屋。
孤児院にいた頃からの癖で、狭い部屋の方が落ち着くのは内緒。
「荷物を片付けたら、お茶にしましょう」
お部屋でわいわいしている三人に声を掛けながら、お茶の準備。
四人で、のんびりと、お茶。
アルマーヤさんが部屋から歩いてきてくれて、お母さん嬉しいです。
「お部屋、狭くなかった?」
三人が見せてくれた笑顔が、何よりのお茶うけです。
「家事のお当番とか、これから何がやりたいのとか、ゆっくりみんなで考えましょう」
三人のわくわく顔で、お腹いっぱいです。
「ひとつだけお願いがあるの。 同い年だけど私のことをお母さんって呼んでくれると嬉しいです」
三人が何やら相談を始めたので、お母さんちょっと心配。
「どうしよっかな」
リベリカさんのそっけない態度に、お母さん大ショック。
「私はリカ、こっちがルミで、あれがマヤ」
「みんなのことをちゃんとそう呼んでくれたら、お母さんって呼んでもいいかな」
もう、早速お母さんを泣かせるなんて、本当に悪い子たちですっ。