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04 母


 私は最初に、これまでの自分のことを語りました。



 孤児院育ち


 奴隷として売られそうになったところを司法官の皆さまに救ってもらえたこと


 自身の固有スキルを活かせるお仕事に付けたこと



 興味深そうに聞いてくれていた娘さんたち。


「お姉さんがうらやましい」


「私たちは固有スキルを活かせる仕事が別々だから、みんな別々のところで働けって」


 うつむいている娘さんたちを見ていたら、今まで感じたことの無い感情が湧き起こってきました。



 これは、たぶん、怒り!



 この子たちの気持ちも考えないで固有スキルで振り分けて離ればなれにするなんて、


 それじゃあまるで、あの孤児院の奴隷商人と一緒じゃないの!



「任せて」


「?」


「あなたたちを離ればなれになんて、絶対にさせないから」



 私を救ってくれた司法官の皆さんに、奴隷商人みたいな真似なんて、絶対にさせない!



 部屋を出て、メイジさんを説得しました。


 きっと分かってくれると信じていたけど、メイジさんはしっかりと私の提案を受け入れてくれました。



「三人は私が引き取って、それぞれが独り立ちできるまで面倒を見ます」



「相変わらず、頑固さんだよねぇ」


 頭を掻きながら上司の説得に向かってくれたメイジさん、いつもごめんなさい。




 笑顔で戻って来たメイジさんが、三人の身分証明書を渡してくれました。


 司法官管轄の保護施設の在住証明書で、住所は私の家!



「ありがとうございます」


「ミスキさんは今から、あの娘たちの保護観察官が主任務になっちゃったの」

「人身売買関係の方は今日の捕物で一区切りついたんで、これからはそっちに専念してね」


「何から何まで、すみません」


「頑張ってね。 これからは三人のお母さんだよ」



 そうか、私、お母さんになったんだ。


 なんだろう、胸の内から湧き上がってくるこの想い。




 職員仮眠室に戻って、三人に事情を説明しました。


 初めはきょとんとしていた三人が抱き合って泣き出したのを見ていたら、私まで泣きそうになりました。


 駄目だよミスキ、今日からは私がお母さんなんだから、この子たちの前では絶対に泣いちゃ駄目。



 本部内の売店で、三人のお洋服を買いそろえました。


 みんなはお金のことを心配していたけど、


 大丈夫、お母さんはこう見えて結構お金持ちなの。



 私がいた孤児院の取り締まりの際に、孤児院の資産や賠償金からかなりの額を受け取ることが出来ました。


 大きな額を使う時は保証人のメイジさんの了承が必要だけど、みんなの新生活に苦労なんかさせませんよ。



『転送』で家まで送ろうかと言ってくれたメイジさんに、今日は家までの道順を覚えてもらいたいからと固辞。



 お母さんとして初めてやることは、お家までの道案内と、近くの商店街でのあの子たちのお披露目です。



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