02『読心』
気が付くと、ベッドの上でした。
目をつむっていても分かる嗅ぎ慣れた匂い。
巡回司法官王都本部の医療室のベッドです。
『またやってしまいました』
私の仕事は『読心』を使って悪人さんたちの隠し事を覗いて隠された秘密を暴くこと。
そのこと自体は簡単なのですが、問題はそこから。
悪人さんたちのとてもとても良くない行いの数々は、世間知らずで経験不足の私の頭ではとうてい耐えられるものではなく、いつもその度に気絶してしまうのです。
今日もまた、やってしまいました……
「大丈夫かい、ミスキさん」
心配そうに声を掛けてくださったメイジさんに、私はうつむくことしかできませんでした。
「大変なところ申し訳ないんだけど、ひとつお願いしたい事があるんだけど」
いよいよお仕事を辞めさせられちゃうのでしょうか。
「今日孤児院から保護してきた子たちを説得してもらいたいんだけど」
「?」
「あの娘さんたち、どうしても三人離ればなれになるのは嫌だって、部屋に引きこもっちゃったの」
「ミスキさんと育った境遇も似ているんで、僕みたいなおじさんよりも話を聞いてくれるんじゃないかなって」
それなら私でも!
「すぐに行きましょう」
この仕事を選んだのは、少しでも私みたいな境遇の子たちの力になりたいから。
まさに今、それが私にできること!