10 日常
それからの毎日は、にぎやかだけど平穏な日々。
リカさんは、お庭で鍛錬。
『勇猛転身』はすごいスキルみたい。
人って、あんなに素早く動けるのねぇ。
「頭に血が上ると力がぐわって湧いて、冷静に怒ると素早く動ける感じ、かな」
そして戦いに関してのクレバーさ。
手合わせしてくれたメイジさんがびっくりしていました。
「戦いの最中にどういう風に動くかって事は考えながらじゃ遅いんだけど、あの娘はすごいですよ」
願わくば、その力を人に向けて使う機会が訪れませんように。
ルミさんは、近所を散策と探索。
『魔導感覚』の訓練なのかしら。
お外での観察は分かるけど、
お家にある物で簡単な魔導具を作っちゃったのはびっくり。
「できれば『折りたたみ式魔導お買い物カート』を分解してみたいです」
できればやめてほしいです。
ひとつの分野を究める集中力。
アリシエラ様と早く会わせてあげたいな。
マヤさんは、街の王立図書館からご本を借りてきて読書。
『魔身変換』を活かして、何かしようとしているみたい。
「身体能力か魔法力か、どちらか一方でも先に増やすことが出来れば……」
知識に溺れるのではなく、それを知恵として活かせる彼女ならば、
いつか願いを叶えてしまいそう。
でも、もう少し体にお肉がついてからでも遅くないんじゃないかな。
みんなそれぞれ、自分に何ができるのかを一生懸命に考えて頑張っている。
頭が良いって一言で言ってもいろいろな良さがあるということが、あの娘たちを見ていると、分かる。
本当にすごい娘たちなんだけれど……
私だけは、相変わらず。
時々メイジさんに呼ばれて、司法官のお仕事に行くのだけれど、
私が呼ばれるほどの悪人さんの隠し事ともなると、
『読心』を使った途端に間違い無く気を失ってしまうわけで、
自分の進歩の無さが、
とてもとても、情けないのです。




