序章 見たことのある景色
なんか他に連載してましたがもっと読みやすい文章の練習をしてたら新しい作品が出来てしまいました。
エタらないように応援してもらえると幸いです。
「——って聞いてるわけ?」
「んぐっ、はい、聞いてます。聞いてます」
誰かに呼ばれて目が覚めた。
寝ぼけ眼を擦って話し声の方を見ると、赤髪の美女が立っている。どこかで見たことがあるような顔だが……まさか。
「レイラ?」
「何気安く呼んでるのよ!! 良い? アンタはただの用務員。こちとらセフィロト学園の先生よ? ちょっと同じ村の出身だからって呼び捨てとかやめてくれる?!」
「す、すみません。レイラ先生?」
「何で疑問符なのよ……とにかく、入学式までにやっといてね? こっちだって暇じゃないんだから!」
一昔前のツンデレヒロインを彷彿させる態度で彼女は小屋から出ていった。
「なんでゲームのキャラに謝ってんだ俺」
生まれるため息。
先程の赤髪の美人教師はレイラ。
俺が好きな「セイクリッドレガシー」通称SLの登場キャラクターだ。
登場回数が少ない割に人気投票でも二位という成績を収めるキャラで、俺もそれなりに好きなキャラだ。だが、別に一番好きなキャラという訳でもないのに夢に出るだなんておかしな話だな。
そんな事を思って俺は居眠りを続けようとする。
「いやこれ夢じゃなくね?」
机にもたれた腕にかかる自重、窓から差し込む太陽の熱。どれもリアルと大差ない感覚だ。
俺が知らぬ間にフルダイブ型のゲームが出てた、なんてのは想像もつかないしこのゲームが選ばれる理由もない。
となれば可能性は一つ。
「え、もしかして俺、ゲーム世界に転生した?」
そんなありえない夢物語だけである。
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