彼女の存在
彼女に会うまでは、私は本当に一人だった。
十代ギリギリで彼女に会って、全てを曝け出したいと思った。
全てを知っておいて欲しいって。
その上で、彼女が私から離れてしまっても仕方ない。
それでも良いから、聞いて欲しかった。自己満足に過ぎない事だった。
あの日のことは、きっとずっと忘れない。
泣きたくなるほどの喜び。
有難うという思い。
彼女に出会えてよかったと思った。
それは、言わば初めて思う、『生まれて来て良かった』と思えた瞬間だったのだろう。
それまで、それなりに友人と語る人は居たが、それは殆どが人を
利用してポイ、って感じが多かったかな。
まあ、利用出来るほどの人間でもなかったが。
私の傷を知っていて、その上で傍にいてくれた人もいた。
でも、その人はリストカットの傷痕しか見たことがなかった。
他の傷を見て、顔色が変わり、連絡が取れなくなった。
私は極端だから、じゃあいいやって全部切ってあげた。
メールのアドレスから、携帯の番号から、全部消した。
縁を切った。そうして欲しいのだと思ったから。
そんなこんなで、その人とは三年ほど絶縁状態だったが、高校時代の
恩師のお陰で何となくまた繋がりを持てた。
とはいえ、そんなに頻繁に会えるわけではないし、メールも来ない。
こちらから送っても返信は殆どありません。
ま、忙しいから仕方ないかね。