姪が生まれて・・・
『彼』の話になると長くていけない。
彼女の話しになっても、とても長いんですがね。
恩を感じるほどの人に対しての記憶は、とても深くて長い。
粉々になった心に、少しずつその人達が入り込んでいるんだ。
上っ面だけの人達とは違うから、強く残っている。
最近は、この数年は、『彼』に会って居ないから、余計なのかもしれない。
死にたいという衝動に駆られるのは。
でも、『彼』に会っても、どうしようもなかった時もあった。
あの時は今以上に絶望的になった。
実はもう死んでいて、気が付いていないだけじゃないのかな。とね。
有得ないって思う人も居るだろうけれど、私は本気でそう思った。
そして、自らズブズブと穴に落ちていった。
一人では決して這い上がれないような、深い穴に。
今の仕事は、スーパーと違う。
回転寿司のように去っていく人間関係ではない。
深いところまで知りうる仕事だ。
こんなに壊れている私が、子どもに何かを教えるなんて滑稽だ。
最初の姪が出来た時、私は悩んだ。
とても嬉しかった。
子どもは大好きだから、十代で叔母になっても良いほどに。
母親になる、という選択肢は無かった。
人を好きになるという事が結構な困難な事だったから。
姉とも色々あり、仲良くなんて無かった。
でも、姪はとても可愛くて、愛しかった。
それはそれは、目に入れても痛くないほどに。
というのは例えであり、入ればきっと痛い。
小さい姪を初めて抱き上げた時、まだ生後二日。
『落としたら弁償してくれれば良いよ』
という姉の言葉は怖ろしかったけれど、それは可愛かった。
同時に、私が触れても良いのだろうかと不安だった。
こんなにも穢れているのに。
不安で仕方が無かった。
姪が大きくなった時、これを見てどう思うのだろうかって。
親は好き勝手に兄や姉に吹聴する。
私は確かに死にぞこないだから、それを言うのはいい。
ただ、何も知らないのに言わないで欲しかった。