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九話『何か企んでる勉強会』


 全体的にピンク色の部屋と、甘い香りがするカーペットは女の子の部屋と言っていい。

 クローゼットの上には使い古した思い出のぬいぐるみがあって、俺たちは部屋の中央にある丸テーブルを囲んでいた。


「お兄ちゃん主催の勉強会! はい、お兄ちゃんお茶!」

「なんで俺がお前の召使いになってんだよ。俺も参加者だからな」

「えぇ~? 二人っきりが良かった?」

「猛烈に今、お前に頼んだことを後悔したよ」


 俺はマキとの勉強会をテツによって無理やり組まされた。実際、嬉しいけど急すぎて思考が追い付かないのが現状だ。

 かくいうテツは来ないとかふざけている。どうせ、今頃どっかでニヤニヤ笑ってるんだ。


「マキ姉の隣は卒倒しそうって言うから、こうして手伝ってあげてるんでしょ」

「当たり前だ。マキと二人っきりになってみろ……俺が何かやらかして嫌われる未来が見えるんだ」

「考えすぎ。悪い所だよ、それ」


 スズの言う通り、俺は考えすぎなのかもしれない。でも、それくらい大事に思っている。大切だから傷つけたくない、傷ついて欲しくない。

 絶対に、泣く姿なんか見たくない。

 

 その時、インターホンが鳴る。


「あっ来たみたい。案内してくるからジッとしててよお兄ちゃん」

「……お茶出せって言ったり、待ってろって言ったり騒がしい奴だな」


 スズが部屋を出ていき、数分すると部屋に美少女が入ってきた。

 白を基調としたサマーワンピースと呼ばれる服で、肘についた白いフリルが特徴的。

 長い髪をまとめる用か、手首にヘアゴムを付けていた。しかし、それも傍から見れば様になる。


 び……美少女ってすげえ! 何着ても様になってる。


「お兄ちゃん、見惚れすぎ。私もちゃんと私服なの忘れてない?」

「あっそうだな。うん」

「なんか腹立つ」


 ムッと頬を膨らませるスズを横目に、マキはいつもの冷静な様子で荷物を置いた。

 お、俺はこんな緊張してるのに……相変わらず余裕があるな。いや、俺が緊張しすぎなだけか。

  

 マキは大して俺のことを意識していないんだ。


「今日は誘ってくれてありがとう」

「いやいや、来てくれてありがとうだよ。お兄ちゃん天然だから勉強を教えてあげて?」


 なんだお前。さも私は勉強できて、お兄ちゃんは馬鹿ですよみたいなオーラだしやがって。いい加減に兄の威厳とやらを教えてやろう。


「スズ? お前、中学の時の成績どうだった?」

「聞いて驚け、まず成績表を逆にして――――」

「ちゃんと読んで、何位だった」

「……最下位付近」


 目を逸らすな。

 そう、スズは頭が悪い。うちの高校に入れたのも、俺が過去問を徹底的に調べ上げていて、傾向と過去問を妹に十二時間耐久させてやらせたことがある。

 ギリギリ合格だったから良かったものの、合格してからは自堕落な生活を送っていた。


「つまり、今日の勉強会は俺じゃなくて、お前のためにやるんだよ」

「ええ!? お兄ちゃんがマキ姉と二人きっムゴッ! ンン!」

「うちの妹は喋りすぎみたいだ。マキ、ごめんな。スズに勉強を教えてやってくれ」


 俺がスズに勉強を教えるよりも、マキの方が成績は上だ。

 常に上位に居て、勉強を教えるのも上手い。俺は勉強の光景を眺めてるだけで満足だ。


「仲が良いのはいいこと。それよりも早く始めましょう。私がナオトの隣だから」

「いや、俺の隣だと教えづらいだろ。スズの隣でいいよ」

「……そ、そう?」

「お兄ちゃんの阿呆」

「うっせ……そのためにお前に頼んだんだよ」


 隣ってことはあれだぞ。腕がぶつかったり、顔が近かったり。

 無理だ。想像するだけで語彙力が失われていく。


「スズ、やるからにはちゃんとやるから」

「なんで私を標的にするのマキ姉」

「……隣じゃないから」

「それただの八つ当たりじゃない?」


 いい機会だ。しっかり叩き込まれておけ、マキは意外と怖いんだってこともついでに知って置け。最近、スズのマキに対する態度が軽い気がするんだ。


 仲が良いのはいいけど……秘密でもあるのか?


 それから一時間程度、しっかりとしごかれたスズは、俺へ若干の怒りを向けていたことは言うまでもない。


「もう疲れた! 勉強終わり!」


 その意趣返しのように、スズは俺に指を差して言う。


「私とお兄ちゃんとマキ姉で勝負しよう!」

「んだよ藪から棒に」

「お兄ちゃん……私はもう怒ったよ。私にやりたくもない勉強をさせたあげく、自分は高みの見物なんて許さない」

 

 ……嫌な予感がするな。

 身構えていると、スズが懐からポッチーを取り出した。


「今から、ポッチーゲームをします!」

「ふざけんな! 場所を考えろ!」

「え~? 何がダメなのかな~?」

「お前、ポッチーゲームってあれだぞ。恋人同士とかでやる奴だぞ!」

「許嫁だったら、同じじゃなぁい?」


 この……っ!

 ま、まぁ、流石にマキも嫌がるはずだ。こんなくだらないゲーム、やる価値もないね。


「マキはやらないだろ」

「……ん、やる」

 

 マキはノリノリだ。マジかよ。

 俺を辱めようとするとは、我が妹ながら策士だ。


「分かった。じゃあ、俺はとりあえずスズとかな」

「えっお兄ちゃん……私たち兄妹だよ? でも、私を選ぶならそれでもいいかな」

「すまん、お兄ちゃんが悪かった。帰るわ」

「待って! 私が悪かった! ごめん謝るからお兄ちゃん帰らないでー!」


 ……足を掴んでまで懇願することか。妹よ、お前はなぜそこまでポッチーゲームに拘るんだ。もしや、俺を弄んでいるのか。

 


【――お願い――】

 『続きが見たい』って方は★★★★★をぜひお願いします……!

 とても作者が喜びますm(_ _)m

 

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