表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/24

十八話『目覚めた両思い』


 俺は帰り道、マキの顔をまともに見ることが出来なかった。さらに、足を怪我しているようで、俺がおんぶしている。

 長い黒髪が時折鼻をくすぐる。めっちゃいい匂い。


「えっと、あの……さっきの言葉なんだけどさ」


 あの、好きって言葉は俺に対してで合ってるんだよな?

 つまり、マキは俺のことがす、好きなのか……えっ現実味がない。ちょっと待って。

 

「俺のことで、合ってるか?」

「……うん」


 小さく頷く。

 なんだこの生物、めちゃくちゃ可愛い。

 

 気弱になっているのか、何か喋るたびにクールさが消し飛んでいた。

 残っているのは素直な部分のみ、つまり、素である。


「ナオトは、私のこと好きなの?」


 なんだぁぁぁ! なんでそんな積極的なんだ!

 急な告白にこの素直さはズルいと思う! 顔を見ようにも恥ずかしくて見れないし!


「まぁ……そうだけど」

「なにそれ、私はちゃんと言ったよ?」


 今のは俺が悪い。

 真摯な思いに対してはぐらかすような言い方は悪質だ。反省しなければ。


「すまん……」


 居心地が良い森林の中は雨が止み、太陽ははっきりと見えて道に迷う事もない。もう少しでキャンプ場へと戻れる。


 マキが寂しそうな声で、俺に続けた。


「ナオトがいなかったら、私……運動と勉強ができれば、完璧になれると思ってたの」


 この十年間、マキの努力は俺の想像を超えているに違いない。

 俺への想いを膨れ上がらせながらも、耐えて隠し続けてきた。それが今回をきっかけに爆発した。


「なのに、ナオトは無視して構ってくれないし」

 

 ポコポコと痛みのない攻撃が背中から伝わってくる。

 マキのパンチはダメージよりも癒しの方が強いな。凄いバフだ、体力満タンになったぞ。


「別に、マキが嫌いとかじゃなかったんだ。ただ、俺の中でマキは特別な存在になってて……俺なんかが傍に居ちゃいけない存在だなって」


 怖かったんだ。

 好きだから嫌われていれば傷つくし、もう二度と近寄れなくなる。


「今も昔も、変わらないよ。私はナオトが居ないと寂しい」

「俺なんかの何処がいいんだ……?」

「好きって言葉は、相手の全部が好きってことなんだよ」


 率直な言葉は、俺の心を動揺させるに十分すぎる威力を誇っていた。


「……おう。ありがとう」


 そう言われてしまうと、俺もそうだ。

 マキのどこが好きで、なんて言うのはない。全部が好きだ。


 でも、俺は。


「昔は、親友みたいな存在だと思ってた。でも、時間が経って十年もあるとさ、色々と考えるんだ。再会した時、俺は親友って言うのも違うって確信した」


 俺は偶然にもマキを助けた。二度も。

 ただの偶然ではない、俺がマキを知っていて覚えていたからだ。


 忘れられないことが多くあった。忘れたくなかったんだ。


「オレは……」


 ――――お前のことが好きだ。


 そう告げた時、マキの頬から雫が落ちた。


「ひぐぅ……うえぇん」


 子どものように、深くではなく浅く泣いていた。

 何か悪い事でもしたのだろうかと焦ってしまう。


「なんで泣いてるんだ!?」

「だって、ナオト違う女の子が好きって。断られるって思ったから」

「はぁ!?」

 

 なんでそうなるんだ。

 だって、俺ずっとマキのことが好きだって遠回しに伝えてたはずなんだけど。ってきり俺は、それを知ってると思ってた。


「ちなみに、どんな子が俺の好きな子だと思ってたんだ?」

「クールで、優しくて、胸も私と同じくらいで……あれ?」

「……それに黒髪で、水に濡れたりするとちょっと青っぽい」

「…………私?」


 気づいたようだ。

 あっこれ。そういうこと、はい。

 スズが若干怒っていた理由が分かりました。


「つまり、俺たちは最初から両想いだったのに、勘違いですれ違ってたってことか!?」

「そうかもしれない……」


 あっ俺(私)馬鹿だ。

 そこだけは、意思疎通ができた。


 なお、それ以降会話はなく俺たちがキャンプ場に戻ると、みんなが安堵した表情で迎えてくれた。


「お前さぁ! マジ心配させんなよ!」

「叩くなテツ」

「うおっ悪い」


 それから、先生と会話して無事に帰ってきたことや怪我をしていることを伝えた。

 帰りのバスで、俺たちはなぜか一番後ろに座らせられた。


 バスが揺れるたびに肩がぶつかり、お互いの体が跳ねた。


「ひゃっ……!!」

「……あんまり変な声出すなよマキ」

「し、仕方ないでしょ! 肩がぶつかるんだから……」


 クソ、このクラス嫌いだ!

 正常に戻ったマキは、元の通りクールさを保っていた。

 

 しかし、時折、ぐへへっと笑い俺の肩に頬を置いた。


ストックが無くなり始めました。

悲しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ