第2話 『第①投』
俺は望み通り…と言えば嘘になるが、本当の望みは天国だったんだがね、中世異世界に転生されてきた……服装は死んだときのままのホットパンツとTシャツ…それぞれ右手に6面体のダイスを握らせていた、俺は水色、閻魔は紅色てなかたちでだ…ダイスを振るとどうなるのかもわからない、しかも俺はダイス以外の持ち物も能力も無しってきたもんだ……普通こんな世界にきたら、魔法とか、武器とか何か与えるだろうよ。
「うるせーよ」
となりの閻魔さんはずーっと叫んでるし
「閻魔様~~閻魔様~~もうしませんから~許してくださいよ~」
「お前も閻魔だろ、この世界のNo.2だろ、何とかしろよ!」
「No.2は冥界でだけなのよ、やっとNo.2にまで登り詰めたのに……ここではなんの能力もない、しかも元閻魔ってバレたら、みんな逃げて行っちゃう……」
「仕事サボってりゃ~自業自得だな…」
ズンと肩を落とす閻魔、こんな弱々しい閻魔見たことない…
この世界に送り込まれるはずのメンバーもまだ来ないようだし。
一方この世界はというと、見たところ中世ヨーロッパ、送り込まれたのは街の大通り、道具屋らしき店の前……オッサンが勘違いして俺に話しかけてきた。
「おい、兄ちゃんお嬢さん泣かして、ひどい奴だな」
ここで閻魔とスゴロクするんだよ、なんて言ったらおそらく、いかれてる奴だと思われるよな、道に迷って泣いているとでも言っておくんだな。
「おっちゃん、違うんだ、この女が道に迷って案内しているとこなんです……」
「この男が、私をここにつれてきたんです~閻魔様~」
この女、俺に濡れ衣を着せてきやがった。
「おい、バカ勘違いされるじゃないかよ……違うんです、妹ですから安心してください」
「兄ちゃん、お嬢さんを泣かせんじゃないぞ、とっとと行きな」
俺は閻魔の手を引っ張り、少し離れた人通りの少ない橋の上までつれてきた。
「おい、エマ、ここからどうする?」
「とりあえず、ダイスをひと振りしたらいいんじゃないの~~あ~閻魔様~~」
「ところで、なんでエマジョなんだ?」
「閻魔大女王、略してエマジョってことよ、さらに略して呼ばないで~~、あ~閻魔様~私だけでも帰らせて~」
なにも始まらないと気づいた俺はとりあえず賽を振らなきゃ始まらないってことか……俺は右手に青いサイコロを握りしめ
「くっそーダイスなんていらねーよ」
川に向かって捨ててやった、これでスゴロクなんてできねーだろ、ははは…ざまぁみろ…
するとどこからか声がする、天の声と言うか、それは周りの民には聞こえていないようだ、俺とエマだけがオロオロと声の方向を探している……第①投は投げられたのだ。