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エピローグ

前作レジスタンスから2年後の物語です。レジスタンスを読んでいない方は読んでからこちらを読むことを推奨いたします。

ヴァストーク連邦王国

人口6億8000万人、総面積97,310,000km2


その首都であるこのヴァストーク島では、特殊な能力スキルを保有するスキルクラフトと呼ばれる人間が誕生する。スキルクラフトが生まれる理由は未だに解明されていないが、一説にはヴァストーク島の地下にある超古代文明の遺跡が関係している可能性も示唆されている。



現在ヴァストーク島の人口は約30万人で、その殆どは軍人や有名企業の社員である。大した大きさでもない島が首都であったり有名企業が集まったりする理由は簡単で、この島には物質製造機と呼ばれる錬金術を使って物質を変化させることができる装置があるからだ。


物質を物質エネルギーという形態に変化させて、その形態から自由に物質を作り直すことができるため、ゴミなどからでも金やダイヤモンドなどといった希少鉱石や金属を生成することができる。貿易系の企業から始まり、証券会社が島に設立されるとあらゆる金融会社の本社や一流企業の本社が島に集まり現在のような形となった。



そんな比較的上流階級が住んでいる島に、スキルを持った人間が普通に生活するためにどうするか15年前に政府は”スキルクラフト保護条例”をヴァストーク市内に発令し、優先的に軍や警察組織などや、製造、研究などの専門的な職業へ務めることができるよう配慮した。


それ以降スキルクラフトによる犯罪件数は激減し、一先ずの解決策としては確かな成果を上げたのであった。



しかし、Г2048年10月10日のクーデター騒ぎから1年後、再びスキルクラフトによる一級犯罪が発生し始めた。




【Г2049/5/1】


新聞記事


ビーネ三丁目で不審火三件

ビーネ三丁目の空き家で不審火があった。可燃物などがなかったことから、スキルクラフトによる犯行の可能性も含め捜査されている。三件のうち、一件は真昼の犯行であり非常に悪質である。警察庁は今後人的被害も想定されるとし、監視体制を強化すると発表している。



【Г2049/5/5】


新聞記事


連続通り魔事件バソキヤ、ビーネで


バソキヤ一丁目で一件目の通り魔事件が発生してから立て続けに六件の通り魔事件が発生した。いずれも未遂または軽症で大事には至っていない。警察庁によると犯人の確保には至らず現在も逃走中。犯人は中年男性で背は高め、黒いYシャツを着ている。警察庁は引き続き情報を集め、犯人逮捕に全力投入すると意気込んでいる。



これら二件の事件はスキルクラフトの犯行であり、犯人を特定まで至ったがスキルを使用されて逮捕することはできなかった。ヴァストーク警視庁はこれを受けてこのままスキルクラフトによる一級犯罪が多発した場合大規模なデモなどが発生すると懸念していた。


そんな懸念も虚しく更にひどい事件が発生した。



【Г2049/5/11】


新聞記事


本日午後五時二十三分に南ヴァストーク三丁目付近で大規模な爆発が起きた。近日スキルクラフトによる犯罪が多発している中では最大規模の被害が発生しており、国防庁では今後の対策について論議しているとのこと。



しかし、憲法を良い事に動かない国防庁を横目にしヴァストーク警察庁が独自に捜査を開始したとの情報もあり、双方で対立関係が確立する可能性もある政府は今回の連続テロ行為にたいし、法案を整備すると発表。


改憲も視野に動く可能性もある

一方で法案整備の最中、新たに警察庁に部署を設けるとの話も出ており、政府国防庁、警察庁で話し合いの場を設けている


スキルクラフトによる犯罪は5月だけでも10件を超えており、ヴァストーク警察はこれ以上の被害拡大を防ぐために、1000人の警察官を動員、市街を隈無く巡回すると発表している。


これまでにわかっているだけで死者八十名、行方不明者百十人、重軽傷者二百二十四人と過去に類を見ない規模となっている。




そんな事件が頻発し、1年が経過しようとしたとき、ついにもっとも大きな被害が発生した。後に「シィクの悲劇」と呼ばれるテロ事件だ。



【Г2050/5/10 シィクショッピングモール】



日曜日のショッピングセンターには多くの家族連れなどがいた。また、日曜日とのこともあり多くのイベントが行われておりかなりの人がいる。近年のスキルクラフトによる一級犯罪を懸念し、国防軍と警視庁の機動部隊が配備されている異様な光景だった。


昼下がり、食事も終えて人が少しずつ減っていっている中で事件は起きた。突然ショッピングモールを支えている支柱が次々となぎ倒され、地震のような揺れが続いた。


「緊急事態発生!!お客様はただちに業務員に従い避難してください!!」



ショッピングモールは一瞬にしてパニック状態になった。しかし、国防軍と警視庁機動部隊が誘導をアシストしていうほどの騒ぎにはならなかった。半分ほどの客が避難したところで全ての支柱に亀裂が入り、今にも倒壊する寸前になった。


機動部隊の1人が、隊長らしき人に報告している。



「隊長!西館広場に不審な男を発見しました、おそらくこの騒動の犯人と思われます!」


「了解した、客の避難誘導を優先しろ!小隊を西館に向かわせて応援部隊と合流しろ」


「了解、避難誘導急げ!!5人は俺についてこい!」



国防軍と機動部隊は西館に向かい、男を包囲した。男は黒いパーカーを来ていて顔が見えない、男は棒立ちで包囲している機動部隊らに告げる。



「お前たちは誰を守って何と戦っている」



突然疑問を投げかけた男は解答を待っているかのように棒立ちのまま聞き耳を立てている。隊員たちは不審な行動をしないか注意しつつ見張っている。



「俺達は国民を守り、敵勢力と戦っている。今回の場合は買い物客を守りお前と戦わなければならない!何を企んでいるのかはわからないがお前は完全に包囲されている!おとなしく投降しろ!」



男は期待した解答ではなかったのか少しため息をつきながら両手を広げた。そして両手を剣を振るように振り下げた途端、その先が真っ二つに切断され、何人かの隊員が引き裂かれた。肉塊となった隊員たちが一階の床にばらまかれ、隊員たちは緊張感を持ったとともに直ちに行動に出た。



「武力行使を宣言する、全部隊撃ち方始め!!」



国防軍の7.75mm自動小銃と、機動部隊の5.56mmサブマシンガンが火を吹き、何千発という弾が男に命中した。命中しているにもかかわらず弾は男に当たらずなにかに弾かれているように見える。


男は涼しい顔をしながら再び手を振り下ろし、国防軍と機動部隊を次々と殺していった。血溜まりが一階にできてきた頃に男は今度は真横に手を振った。すると建物を支えていた支柱が全て切断されてショッピングモールが完全に倒壊した。



死者1458名、行方不明者3104人。ヴァストーク有史以来最大のテロ事件である。





【Г2050/5/13 ヴァストーク国防重役会議】



円卓に並んだ7人の国防関連の重役たち、スーツを着こなし、オーキッド色の長髪に、カチューシャをつけている女性が発言した。



「お集まり頂いたヴァストーク国防の上役の方々に感謝を申し上げます。警察庁長官ノエル・エルディアです。本日の議題は近日のスキルクラフト関連一級犯罪についてです」



「国防軍司令長官アルフォード・エルディアだ。国防軍も呼んでいるということは何か案があってのことだろうか?」


「はい、すでに話は通してあるので正直呼ぶ必要はなかったのですが念のために。現状と今後の対策についてお話いたします。日本軍の日野司令に来ていただきました」


「日本軍司令長官日野泰造です。今回ヴァストーク市のスキルクラフト一級犯罪急増の件で呼ばれました。我が日本国も犯罪については様々な意見がありまして、現在行っているのは抑止力の増強であります。そこでヴァストーク警視庁に新しい部署、ないしは係を設けたいのです」


「日本と話し合った結果、日本の優秀な軍人を手配していただくことになり、ヴァストークの警察組織、軍組織と日本の軍組織からそれぞれ知能、技能、体術等優秀な人材を集めてスキルクラフトを取り締まる専用の係を刑事部捜査一課に配備することになりました」



「国防軍からは誰を派遣すればいいんだ?」


「国防軍から派遣してもらうことはなさそうです。人事は王立警務部隊から1人、警視庁公安部から1人、警視庁刑事部から2人、日本軍から2人の合計6人です。彼らを”スキルヤクト”と敬称し、対スキル犯罪対策係と正式名称をつけたいと思っています」



「ヴァストーク連邦上級議会議長のジャックだ、国民にはいつ通知するんだ?極秘部隊として運用するのか?それとも公式か?公式にしないと抑止力としては機能してくれないと思うが」


「はい、公式として係の存在は公にいたします。公にしても強力な係として運用するために人事に特に気を使っているのです。他に質問は?ありませんでしたら決を採りたいのですがよろしいですね?それでは賛成の方は起立願います」



その場にいる全員が起立し、全員一致で対スキル犯罪対策係を設立することが決まった。



【Г2050/5/13 ヴァストーク警視庁】



5階の小会議室にノエルと対スキル犯罪対策係-スキルヤクト-に選ばれた人間が集まっていた。比較的若いメンバーが集まっており、一番若そうな喪服姿でオレンジ色のセミロングの女がしゃべった。



「あの・・・私今年の4月に捜査一課に配属になったばかりなのですが突然異動と言われて困惑しています・・・あ、私の名前はリナ・ワーグナーと申しますってほとんど知ってる人ですね」



「リナちゃんここに異動だったんだ、またよろしくね?」


「はい!志乃さん!よろしくおねがいします!」


男用のスーツに身を包み、セミロングほどの黒髪を後ろに結っている彼女は万代志乃かずしろしの捜査一課の警部である。27歳にして警部という地位にいるのは彼女が関わった事件は全て解決しているという有能さからの異例出世である。アホ毛がチャームポイントらしい。



「私は日本軍からこちらに異動になりました、青木来花あおきらいかと申します。元中佐です、リナちゃんお久しぶり!ちなみに巡査部長です」


「青木さんもここに異動になったんですね!なんだか凄い奇妙な感じです」


「佐藤一馬、元日本軍少将、警部です。よろしくお願いします」


「佐藤さんよろしくおねがいします、初めて声聞いた気がします」


「佐藤さんはしゃべるのが苦手なんですよ!」


「へぇー・・・」


「私はヴィンセント・C・クラークと申します、警視です。この係の係長として拝命しました」


「ヴィンセントさんお久しぶりです、よろしくおねがいします」


「クーデター事件以来ですね、まさか警察に努めていらっしゃるとは思いませんでした」



「はいはいはい!みんな挨拶は済んだ?それじゃあ早速なんだけどこの部署の目的をノエル長官に聞きたいと思います」


「では説明します、昨今のスキルクラフトによる犯罪行為は過激さを増し、先日ついに最大規模のテロ行為が発生したのは皆さんの知るところかと思います。そこで対スキル犯罪の専用組織を作ることになって君たちに声がかかったわけです」


「ノエル長官、質問です」


「はい、万代警部」



「ココにいる中でスキルクラフトは何人いるんですか?」


「リナ巡査とヴィンセント警視ですね、どちらも攻撃性の高いスキルではありませんが・・・というかもうひとりいるんですけどまだ来てないんですよね」


「強力なスキルクラフトが出てきた場合はどのように対処すれば良いですか」


「殺してかまいません、超法規的処置を執行いたします」


「うわお、これまたずいぶん強気な・・・」


「すでにかなりの市民が犠牲になっています。甘いことは言っていられません」


「了解しました、そういうわけで皆にはこれからバッシバシ働いてもらうから、よろしくね!」


「あの万代警部・・・私が係長なんですが」


「え?いいじゃない別に」


「今後が心配になってきました・・・」



「遅れてすいません!!!ちょっとスーツ着るのに時間が・・・」


「な、ナビ姉!?ナビ姉もスキルヤクトに異動なの?」


「そうそう、ウチもだよ!!ナビ・エルディア、階級は警部補です」


「見た通りのスキル持ちね、これは心強い」


「よろしくおねがいします」



計6人のメンバーが集まり、14階にある空き部屋へ移動した。




Г2050/5/13、対スキル犯罪対策係-スキルヤクト- 発足

メンバー編成



ヴァストーク警視庁刑事部捜査一課

対スキル犯罪対策係


係長

ヴィンセント・C・クラーク(警視)

元ヴァストーク王立警務部隊隊長

スキル:超高速治癒

特技:魔法、剣術、話術

趣味:読書



万代志乃(警部)

元捜査一課一係

スキル:なし

特技:会社経営、体術、銃撃

趣味:なし



佐藤一馬(警部)

元日本軍少将

スキル:なし

特技:体術、狙撃

趣味:プラモ制作



ナビ・エルディア(警部補)

元警備部公安課

スキル:空間移動

特技:スキルによるバックアップ、及び攻撃

趣味:食べ歩き



青木来花(巡査部長)

元日本軍中佐

スキル:なし

特技:ハッキング、クラッキング

趣味:ゲーム、ジャンク漁り



リナ・ワーグナー(巡査)

元刑事部捜査一課一係

スキル:電気操作、スキル複製

特技:魔法、剣術、スキルによるハッキング

趣味:剣術の鍛錬

次回が実質の1話目となります。これからこの凸凹メンバーでどのように犯罪に対処するのかご期待下さい。前作と違い、長い目でゆっくりと更新していきますが、ご了承くださいませ。

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