101.続・森の民とおっさん―5
「オイオイ……こんなチビが、そんな過酷な宿命を背負ってるって、どういうこった……ッ!!」
肩を震わせ、深く悲しむ様子を見せるイシュア。
これならもしや、とグルゥとキットは顔を見合わせる。
が、
「でも駄目だッ!!」
きっぱりと言い切られ、キットはズコッと前のめりにコケた。
「駄目なのかよっ!?」
「お前さんの境遇はよく分かった。だけどな、神狼様の居場所は、俺達だって把握してるわけじゃないんだ。闇雲に捜し回って、神狼様に会えるわけじゃない」
「じゃあ、どうすれば会えるんだっ!」
「それこそ、お前さんの心持ち次第ってワケだ。事実、神狼様は森の奥だけじゃない、お前さん達がやって来た手前の森でだって、姿を見せたこともある」
イシュアの渋い回答に、グルゥは顎に手を当て、うーむと唸った。
「森の奥には、神狼を祀る祭壇があると聞いた」
「神狼様は、そこに居るわけじゃないんだ。実際、俺だって祭壇の手入れに何度も森の深部まで行ったことはあるが、だからといって神狼様に会っているワケじゃないからな。本当に時間が無いのなら、もう少し確実な方法を検討した方が良い。これは、本心からの忠告だ」
真っ直ぐなイシュアの目を見るに、その言葉に嘘は無いのだろう。
だが、残り少ないキットの時間――縋るような思いでやって来たグルゥにとっては、何もしないで手をこまねいているわけにもいかなかった。




