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11.騎士とおっさん―2

「な、な、ななななな、なんだァあの魔人はァ!? よ、用心棒でも雇ったつもりかよ!?」


 凄んではいるが、明らかに動揺をしている男。

 弱い人間だと、グルゥはすぐにその本質に気が付いた。


「なぁ、待ってくれ。いったい何があったのか知らないが、少し落ち着いて話してくれないか? それに私は用心棒でなく、ただの客人だ」


「あ、なんだびっくりしたぁ。……じゃなくて、余所モンが口出すんじゃねーよ!! いいかぁ、こいつら、というかこのニサードの村全体はよぉ!! アルゴ公が御布令として出した税金を、まったく納めてないんだわ!!」


「だからそれは、急なことじゃったから……! もう少し、時間をくれんかのぅ。特産品の生産量は増やしておるし、それにそれを金に換えるのにも、まだ時間が必要なんじゃ」


 すっかり弱りきった様子で謝るカッツォ。

 先程まで楽しく酒を酌み交わしていたのに、カッツォの平身低頭の態度は見ているグルゥの胸が痛くなった。


「へっ。公爵は急ぎだってのに、そんな言い訳をするのかよ? いいか、お前らの村は足を引っ張ってるんだ!! 他の町や村はしっかり納税出来ているのに、お前らだけズルをするわけにはいかねぇよなァ!?」


 なるほど――と、グルゥはある種納得にも似た感情を覚える。


 元来の性格を考えれば何か言い返しそうな二人をここまで丸め込んでいるのは、二人の真面目で優しい性格をうまく利用しているからだ。

 お前たちのところだけ納められていない、と言えば二人は罪悪感を覚え何も言い返すことが出来ないだろう。


 いや、二人だけでない。

 恐らくこの男は、同じ手口でニサードの村中を強請っている。


「おい」


 ずい、とグルゥが進み出ると、男はビクッと肩を震わせて驚いた。

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