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100.森の民とおっさん―1

 グルゥは窮地に追い込まれていた。

 慣れない森の地形に、どこからともなく放たれる矢の嵐。


 下手に力を使えば森ごと燃やしてしまう可能性があり、力任せに暴れるわけにもいかない。


 頼みの綱だったキットは、強襲の間にはぐれてしまっていた。

 そして、木の根に躓いている間に、狙いすましたような矢の一撃が頭に突き刺さる。


「うがァ!!」


 気合い一発、折れた黒角の根元で矢を弾き返すグルゥ。

 『サタン』の血統で良かったと、心底思った瞬間だった。


「って、うお!?」


 だが、安心したのも束の間。


 新たな一歩を踏み出したところで、木の根の裏に隠されていたトラバサミを思い切り踏んづけてしまう。

 鋭い鉄の刃が、グルゥの大きな足にしっかりと食らいつく。


「今だ、一斉にかかれぃ!!」


 それを好機と見たのか、森中に響く野太い男の号令。

 その瞬間に、木陰に姿を隠していたエルフの一撃が、同時に十人近く飛び出して来た。


 四方八方から降り注ぐ矢の嵐にグルゥは、


「だから、やめろって……言ってるだろ!!」


 頭だけを隠して、その全ての矢を巨体で受け止める。

 無数の木の矢は、グルゥの硬質な皮膚に弾かれて、あっけなく周囲に転がった。

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