971/984
XXX世界を改変する者たち―4XXX
一瞬の出来事だった。
男は目の前で起こった爆発に、思わずその動きを止める。
――そして、しばらくの間。
「…………なんだ、これは」
憮然とした表情で、男は抜いた剣の先を門番の男に突きつけた。
放たれたクラッカーから飛び出したカラーテープが、男の緋色の髪に、鬱陶しく絡み付いている。
「だから、ようこそ、って言ったジャン。これからキミの歓迎パーティーを開くんだ、エルゼシュトくん」
そのユグドラシズの言葉を合図に、門番の女はスタスタと寂れた台所の方へ向かうと、腰のナイフで用意してあった野菜を切り始めた。
トントンと小気味良く廃墟内に響く調理の音。
呆然と立ち尽くすエルゼシュトだったが、やがて、怒りに我を忘れたように、力任せにカラーテープを引っ張った。
「思ってたのと違うぞ!!」
「まあ、世界征服は……仲良くやりましょうってことだよ」
それまで耐えていたシノカミだが、堪えきれなくなったように笑い出す。
これが本当に世界を支配しようとしているヤツらなのかと、エルゼシュトは頭が痛くなるのを感じていた。




