XXX世界を改変する者たち―3XXX
男は人目を避けたかったのか、顔が見えないよう、フードを目深に被っていた。
周囲を窺いながら、男は廃墟の中に、慎重に足を踏み入れる。
「ようこそ、待ってたよ。こっちの世界の仲間も、何人かは欲しいと思ってたからね。ジルヴァニア城で会った時から、キミには素質があると思っていたんだ」
やって来た男を、にこやかな笑みで迎え入れるユグドラシズ。
だが、男の手は常に腰の鞘に添えられており、まだ警戒を解いていないことが分かる。
その殺気を感知し、門番役の女が腰のナイフに手をかけたが、それを隣の男が制した。
「殺るな。……まだ早い」
そう言う男も、もう片方の手は軍服の懐に入れている。
まるで、その中に自身の得物があるような素振りである。
「やれやれ……こいつはとんだ歓迎だな」
フードの男はそう言って、背後の二人の動きをそれとなく見やった。
まだ、臨戦態勢には入っていない。
それならば今のうちにと――鞘を握る手に力を込める。
一触即発の空気。
耐えかねたように――ユグドラシズは、やれ、と門番の男に合図を出した。
「チッ」
その瞬間、男は素早く剣を抜いて振り返り、目深に被ったフードがはだける。
だがそれよりも早く、門番の男が懐から取り出したモノが、男の眼前でパァンと破裂した。




