11.騎士とおっさん―1
何事か――とグルゥは驚いて立ち上がった。
それを手で制するカッツォ。
「だ、大丈夫じゃて。ここはオイラが出て行くから」
「おらァァァアアアアアアア!! ジジイ、ババア、いるかァァァァァアアアアアアア!! 税の徴収だァァァァァァァァアアアアアアアア!!」
まるでチンピラのような怒号に、グルゥの目が丸くなる。
税? こんな夜中に? ということは国の人間が来ているのか?
様々な疑問が頭の中を駆け巡った。
カッツォは慌てて玄関に向かうが、それよりも早く、一人の男が部屋に乱入してくる。
「なんだァ!! 返事もしねーと思ったらいるじゃねぇかぁ!! 居留守のつもりかァゴラァ!!」
「す、すまんて。客人が来ていて……今出ようとしていたんじゃ」
慌てふためくカッツォ。
対して、無礼にも土足で上がりこんできたのは、細身で神経質そうな小柄な男である。
年も、見たところ三十代前半とそのくらいだろう。
どうしてそんな青二才にカッツォがへこへこしているのか、グルゥはまったく理解出来なかった。
「あぁん!? 現在、絶賛滞納中の身で、んな言い訳をすんのかよゴラァ!!」
「だ、だからまだ金の用意が出来ていないんじゃ。もう少し、もう少しだけ待ってくれんかのぅ」
何か金目のモノはないかと、部屋の中を物色する男。
すると、奥にいたグルゥと目があって、ギョッとした表情になった。




