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99.天災とおっさん―7

 丘の上から見下ろす荒野は燃えていた。

 炎に包まれ、黒焦げになった兵士の死体は無数。


 死屍累々の世界を、ユグは冷めた目で見つめている。


(ああ……どうして)


 全ては、ユグの研究を継承したライファによることだった。

 独自の理論を継ぎ出し、不安定ながらもテトラスフィアに眠るフォルを取り出すことが出来るようになったライファは、王に進軍を提言していた。


 この力を使い、アガスフィアの地を支配すれば、コクアを豊穣の地に変えることが出来ると。

 もちろんその裏には、自身の研究を完成させるために、少しでも多くのフォルが欲しいという意図が隠されていたが。


(どうして、世界は)


 その結果引き起こされたのは、イルスフィアとアガスフィアの大規模な戦争だった。

 既に戦争は終局に近付きつつあり、不安定なユグの魔法を御し切れなかったイルスフィア軍は、力尽きそうになっていた。


(こんなにも、馬鹿なんだ)


 何故、ライファが痺れを切らして接触してきたのか――それを理解したユグは、やれやれと大きく首を振ってみせる。


「ちゃんと研究を完成させれば、全ての人が安心して暮らせる、そんな世界を作りだせるほどのフォルを得ることが出来たんだ」


 それなのに、何故、功を焦って争いを求めるのか。


 それは、ユグには理解出来ない。

 どうしようもない、馬鹿共のやり方なんだ。


「ボクが、ちゃーんと世界を先導して……馬鹿共を躾してあげなくちゃあ」


 それが、ユグが始めた“世界改変”の活動の始まり。

 大賢者ユグドラシズの、誕生の瞬間だった。

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