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99.天災とおっさん―6

「――これで、いいかな。少し歪かもしれないけど」


 魔法で強引に接合した右腕を動かしながら、ライファは大きく息をつく。

 その足元には、事切れたユグが横たわっていた。


「危なかった。痛覚を切ってから気付かなかったけど、ボクの体はもう少しで活動限界を迎えていたらしい。魂の入れ替えの魔法を覚えておいて、本当に良かった」


 そう言って、ライファは踵を返し牢屋から出て行く。

 肉塊となったユグについては、何の興味もないようだった。


「うん……ライファ兄の記憶領域にはちゃんとアクセス出来るみたいだ。人の成果物を丸々奪うみたいで心が痛むな。だけど」


 トントン、とライファは自身の胸を叩いた。


「大丈夫。ライファ兄が成し遂げたかった研究は、ちゃんとボクが引き継いであげるからね」


 ユグは誰にも言えない秘密を一つ抱えていた。

 それは、自分の体にベルゼブブの証である“尻尾”が無いこと――ユグは“形質反転”の生まれだったのだ。


 自分の寿命が短いことは分かっていた。

 そして、それを理解しつつも、増幅された力を使い更に寿命を縮めていることも。


 だからユグは――替えの体を調達する、その魔法を完成させていたのだ。


「だから、許して欲しいなライファ兄。世界にとっては、ライファ兄が生きてるよりボクが生きていた方が有益なんだ」


 これで、テトラスフィアに繋がる魔法の研究を、さらに進めることが出来る。

 そう考えていた、“ライファの体を奪ったユグ”を待ち受けていたのは――取り返しの付かない世界だった。

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