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10.イカとおっさん―8

「ま、それは余計なお世話ってやつじゃな。……流れ者同士、馬が合うんじゃないかと思っとったが……」


「流れ者?」


 カッツォの言葉が引っかかり、グルゥは思わず聞き返してしまう。

 あ、とカッツォの表情が固まって、まずいことを言ってしまったと、ツンナと目を見合わせた。


「あ、えーと、それはその……じゃな……」


「別に、言ってしまってもいいですよ」


 再び隣の部屋から聞こえてくる声。

 サリエラは酒の場が好きではないらしく、先に寝室へとこもっていた。


 確かに、ところどころ違和感を覚えてはいたが――


「サリエラは、実の娘ではないのですね?」


 グルゥの言葉に、カッツォは頭を抱えながら頷く。


「そうじゃ。実は彼女も、一ヶ月ほど前にこの浜まで流れ着いた身でな。……身投げをした、それ以上のことは聞かないでくれと……そう言われて以来、ずっとここに住まわせているのじゃ」


 道理で、この二人の娘にしては妙に口調が丁寧だったり、包丁捌きがド下手くそだったり。


「サリエラ、君は……」


「嫌です。私は……私の過去について、語りたくはありません」


 ドア越しに聞こえてきたサリエラの声は、今までの無邪気な声とは違い、絶対に他人に心を許すまいとする拒絶の意思がありありと表れていた。


「ま、まあ、一度こっちに来て顔を突き合わせて話してみんか? それで、何か解決することもあるかも――」


「絶対に嫌です」


 困った困ったと、カッツォとツンナは共に顔を見合わせる。

 ――その時だった、カッツォ邸の玄関のドアが、荒々しく開かれたのは。

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