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98.天才とおっさん―7

 ライファの問いに、ユグは少し思案してから答えた。


「うーん。その形状については、まだ考察の段階だけど。でも、スフィア間はもっと立体的で、そこにアクセスすることが、フォル不足を解消する鍵だと思ってるんだ。だから今度の実験では、そのスフィア間の空間に直接触れてみようと思ってる」


「それは、相当危険な実験じゃないのか?」


 ライファに聞かれても、ユグは動じることなく、満面の笑みで応えて見せた。


「大丈夫、ボクの理論は完璧さ。ライファ兄も期待しててよ、ボクがみんなを救うんだ」


 その屈託のない笑顔を目の当たりにし、ライファは不意に足を止める。


「ライファ兄?」


 呆然と立ち尽くすライファの姿を見て、ユグは怪訝そうにその名を呼んだ。

 それを聞いてハッとしたように、ライファは顔をあげる。


「い、いや……あまりにも、お前の姿が眩しくてな。そうか……もう、そんなに大きくなったのか」


「なにヘンなこと言ってるのさ。ボクにとって、ライファ兄はいつまでもライファ兄のままだよ。ライファ兄が居たから、ボクはここまで来ることが出来たんだ」


 その言葉を聞いて、ライファはグッと目頭を押さえる。


「そう、か……。ありがとう」


「ちょ、ちょっと。大袈裟だって」


 普段は常に冷静なライファの珍しい姿を見て、ユグは少し驚いていた。

 が、今まで自分を育ててくれたライファのためにも、絶対に実験を成功させようと決意を強くする。




 そして、訪れる実験の日――それが、ボクの運命の日だったんだ。

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