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97.異世界勇者・伍とおっさん―8

「――私はずっと、マリモが私を裏切ったんだと思ってた。だけど、きっと黒幕は先生だったんだ……だからアイツらは、私とマリモの違いもよく分かってなかった」


 カエデの話を聞いて、シロカミは驚いたように目を見開く。


「そんなことがあったんだ。異世界転移前に、トラブルがあったとは聞いてたけど」


「う、うん……。シロカミには、あまり知られたくなかったから隠してたけどさ。まあ、言おうとする前にはシロカミ死んじゃったし」


「……なんか、それはそれで申し訳ないな」


「だけど、これってどういうことだ? ユズと先生は初めから繋がってて、私達を嵌めたってことなのか?」


「さあ、転移前の状況は、正直僕も分からないけど……。今の話を聞いた感じだと、そいつらの目的が金だったこと、手口がやりなれてることからしても、元々、常習的に先生はそういうことをやってたんだじゃないかな」


「まさか!? あの先生が……? あんな冴えないヤツなのに」


 普段は穏やかで、どこか弱々しい雰囲気だったが、中身がそんな下衆だったと考えると――そのおぞましさに、カエデは目眩を覚えた。


「ユグドラシズを倒すなら、そのうち先生にも会えるさ。その時に、真意を問いただせば良い」


「シロカミ、お前ってほんと……時々、その冷静さを怖いとさえ思うよ」


 淡々と状況を把握しようとするシロカミに、カエデは感心半分、呆れ半分の表情をした。


「調子が悪い時はずっとベッドの上で生活してたからね。妄想だったら人より得意だ」


「妄想じゃなくて、ちゃんとした推測になってるのが怖いんだけど……。まあ、ここまで来たら、確かにやるしかないな」


 カエデの言葉に、シロカミは大きく頷いた。


 かくして二人は、ユグドラシズを倒すだけでなく、先生に会ってその真意を確かめる――その目的に対しても、動き出すのだった。

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