97.異世界勇者・伍とおっさん―2
異世界転移を行った当初、七人の少年少女は三つのグループに分かれて行動していた。
一つ目は、アキト、マリモ、ユズのグループ。
二つ目は、カエデ、シノカミのグループ。
三つ目が、ゲンロク、ミクのグループだ。
「だけど現状、僕らはほぼ二つの陣営に分かれつつある」
勇者戦争に勝ち、神をも超えようとしているユズとクロカミ。
対して、それを防ごうとしているのがマリモ、カエデ、シロカミの三人だ。
「アキトとゲンロクは、残念だけど道中の戦いで倒れてしまった。ミクはずっと行方不明のままらしいね」
「んでも、ちょっと待ってくれよ? ユズは結局、ゲームマスターだったんだろ? それじゃあ、そもそも勇者戦争に参加してるのは六人だけだったってことか?」
「そんなことは有り得ないって。……魔神の加護を受けた僕らなら、それは分かっているはずだろ?」
シロカミの言葉に、カエデは全身に鳥肌が立つのを覚えた。
それは忘れもしない――あの日、あの時、魔神と目が合ったからこそ、今の自分がここにいる。
まさに人智を超えた神という存在。
そんな、七つの血統を持つ魔神が、実際には六人しか選別していなかったというのは、確かに理解しにくい話だ。
「だけど、それじゃあ七人目は誰だったんだよ?」
「それが、グルゥさんの話を聞く限り……どうやら“先生”も、こっちの世界に来ているみたいなんだ」
「えっ? それなら、一度会って話を――」
「ユグドラシズ側なんだよ。……先生は、きっと初めから僕らを」
その瞬間。
カエデの中で、何かが弾け、“繋がった”。
そんな衝撃があった。




