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10.イカとおっさん―6

 ――その結果。


「オ、オイラたちぁえらいウワバミを起こしてしまったみたいじゃな」


 グルゥの卓の前には、空っぽになった酒瓶が十本以上、さらに白飯のお代わりも十杯以上に及ぶ。


「うまいっ!! もっと飯をくれ!!」


「あ、あらー……。もう焚いた米が無くなっちまったよ。お隣さんから貰ってくるかぁ?」


 『アガスフィア』に来てからロクな飯も食っていなかったグルゥにとって、さらにほぼ一週間ぶりに腹の中に入れる固形物ともなれば、その食欲は計り知れないものがあった。

 ほぼ一気飲みの状態で酒瓶から直接酒を飲み干し、出された飯は一口でかっこみ、あっという間に卓の上の皿を空にしてしまう。


「オ、オーガ……まさにオーガじゃあっ」


 黒角も相まって、それがカッツォの素直な感想だった。


「それで話の続きだが……うぅ……」


 しかも完全に出来上がってしまったグルゥは、涙混じりにこれまでの境遇を語っていた。


 『イルスフィア』から娘を連れ戻しに来たこと。

 そこで一人の少女を救い出したこと。


 だが――敵討ちの相手に敗北を喫し、ここまで流されてきたことなど。


「うん、うん……グルゥさんも大変な目に遭ってきたんじゃなぁ」


 いつの間にか涙はカッツォとツンナにも伝染し、騒がしかった酒宴がしんみりとした場になる。

 するとカッツォが、その節くれ立った手で、グルゥの頭をわしゃわしゃと撫でた。

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