表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
933/984

95.狼煙とおっさん―8

 ――枕元に近付く気配でヴラディオは目を覚ます。


 ほんのりと漂う冷気。

 どうやら、一番会いたくない顔がやって来たらしい。


「どうして……こんなことをしただ」


 ベッドの上から顔を覗き込むルッタに、ヴラディオは顔を背けると、無視を決め込んだ。


「サリーメイアは……こんなことをさせるために、生まれたんじゃないだ!」


「それは、貴様の価値観だろう。我は元よりそのつもり……貴様と交わったのは、最強の種を作る、その目的のみのためだった」


 心無いヴラディオの言葉。

 だが、ルッタは傷ついた様子も見せずに、じっとヴラディオの顔を見つめている。


「あの時……山小屋の中での暮らしで見せた優しさは、嘘だったんか」


「ああ、そうだ。全ては我が目的を、悲願を果たすため。お前も、我にとっては駒の一つでしかなかったのだ。理解したか?」


「……ああ、十分理解しただ」


 パシン、と病室に響く乾いた音。

 ルッタの平手が、ヴラディオの頬を打っていた。


「これで、満足か」


 ヴラディオはベッドに寝たまま、じっとルッタの顔を睨みつける。

 その目の奥には、失せろ、という強い意思が込められてた。


「うん、満足…………なんて、するわけないじゃろがぁ!!」


 が、それを上回るような強い口調で、ルッタは再度思い切りヴラディオの頬をぶん殴った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ