表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
927/984

95.狼煙とおっさん―2

 ジルヴァニア城での激戦から、三日が経っていた。

 半壊したジルヴァニア城では、復興ため多くの兵らが慌しく動いている。


 ――王であるヴラディオが倒れた後、なおも戦い続けようとする者はいなかった。


 ヴラディオの暴走により、イルスウォードの兵らだけでなく、ジルヴァニアの兵士達にも大きな被害が出ていた。

 傷ついた者はあまりに多く、兵士達に士気は残っていなかったのだ。


 そして何より、二人の王の存在が大きかった。


「すまない、待たせたな」


 グルゥとキットがやって来たのは、崩れかけた大広間にテーブルや椅子を持ち込んだ、こちらも仮設の会議場だ。

 やあ、と軽い調子で手を挙げたのはコクアの王、ネアロである。


 自らもアガスフィアに赴いていたネアロは、一歩引いた位置で戦局を大観し、裏でイルスウォードの指揮をしていたのだ。

 そんなネアロが動いたのは――ヴラディオが命を落とす直前である。


「いくら悪逆非道の限りを尽くしてきた彼でも、命を救ってもらった上でまだぎゃーぎゃー喚きたてるような往生際の悪さは無かったということだね」


 見せ付けるように口髭を撫でながら、ネアロはテーブルの向こうの少年に語りかける。

 白い髪の少年は、呆れたように笑いながら、困惑してグルゥを見上げた。


「あはは……ネアロさん、さっきからずっとこの話ばかりしてるんです。よっぽど、自慢をしたいんですかね」


「ってもよー、実際にヴラディオを助けたのはお前なんだろ? だったら、そのちーとすきるの自慢を出来るのは、お前の方なんじゃないか?」


 キットの言葉に、僕はそんな、と少年は謙遜してみせた。


「しかしビックリだぜ。お前が、二人も居たなんてな」


 キットはまじまじと少年の顔を見る。

 その少年は、髪の色の違いこそあれど、シノカミと全く同じ顔をしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ