表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
926/984

95.狼煙とおっさん―1

「申し訳なかった!!」


 半壊したジルヴァニア城に作られた仮設医務室。

 その室内に、爆音に近いグルゥの渾身の謝罪が響いていた。


「お、親父、他の人に迷惑だって」


「いや、しかし……私は自身の感情に任せ、二人を殺しかけてしまったのだ」


 そんなグルゥを窘めるのはキットだ。

 グルゥが土下座をして全力で謝っているのは、ベッドに寝かされたマリモとカエデに対してだった。


 呆気に取られているカエデに対し、マリモは苦笑気味でグルゥに言葉を返す。


「でも、グルゥさんがそうしないと……今頃は、私達もユズにやられてたんでしょう?」


「だが、それは結果論で――」


「だあああああああああああっ!! うるせえっ!!」


 しつこく謝り倒すグルゥに対し、カエデの堪忍袋の緒が切れる。


「男らしくねぇっ! 結局私達が無事だったんだから、それでいいじゃんかっ! それよりも、今はユズをどう止めるかの方が問題じゃ……っててて!」


 ベッドの上から啖呵を切るカエデだったが、傷に響いたのか、ぐったりとして横になった。


「とにかく、枕元でそんなぎゃーぎゃー言われてたら治るものの治んねぇよ。分かったら、さっさと作戦会議、進めてきなって」


 そっぽを向くカエデに対し、グルゥはどうすればいいのか、あわあわと焦っていた。

 キットはそんなグルゥの手を引くと、仮設医務室から出て行くように進める。


「ああ言ってるんだからさ。少しは、カエデの気持ちを汲んであげなって」


「で、でもキット、私は――」


「いいから! 早く行くよ!」


 キットに押し切られる形で、グルゥは仮設医務室から出て行く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ