表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
924/984

94.異世界勇者・参とおっさん―8

 それは悪夢のような――いや、それを通り越し、狂気の世界と化していた。


 一度はユズ達に殺された信者達。

 彼らがまるで生きる屍のように蘇り、その体は思い思いに変貌を遂げていく。


 蝶の様な羽を生やしたもの。

 蝸牛のような甲羅を背負ったもの。


 それらの変貌は、全てミクが趣向を凝らして事前に埋め込んでいた、“因子”によるものだった。


「死ねッ!! 死ね死ね死ね死ね死ねッ!! お前らなんて、全員死ねッ!!」


 既にこの世界には、もう愛する兄も父も居ない。

 その事実は、ミクが被っていた仮面を剥ぎ取り、本質的な凶暴性を露わにするには、十分過ぎるほどの条件だった。


「へぇ、ゾンビ・アタックなんて、そんなことも出来るんだ」


 だが異形の屍に囲まれても、ユズは表情一つ変えなかった。

 テントを薙ぎ倒し、無数の信者達の群れが押し寄せてくる。


「あははははははははははははッ!! 殺せ、殺しちゃえッ!!」


 ミクは勝利を確信し、歯を剥きだしにして哄笑をあげた。

 ユズはゆっくりと右手を突き上げると、


「燃えろ」


 その人差し指から、周囲を薙ぎ払うように円状に熱線を放射した。

 高熱が巻き起こす熱風に、信者達は一瞬で消し炭へと変わっていく。


「はは、は…………え?」


「今のはチートスキルでも何でもないよ。“魔神の心臓(デモンズ・コア)”。ボクが辿り着いた研究の成果だ」


 ユズが手に入れたノニムの体――その中央に埋め込まれた熱球が、煌々と闇夜に輝いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ